発達障がいのこどもと送迎|親御さんの負担を軽くするために②
前回の1回目は、発達障がいのこどもを抱える親御さんの送迎にまつわるエピソードをご紹介しました。
さて、障がいがあったり、発達支援の必要なこどもたちが通う児童発達支援事業所を知っていますか。
主に6歳未満の未就学のこどもたちが通って、日常生活のスキルを身につける、リハビリをおこなうといった施設です。
略して児発事業所と呼ばれることもあります。
ある東京都の児童発達支援事業所の場合
2019年、東京都の児童発達支援事業所の送迎を巡って、行政の対応が話題になりました。
ある児発事業所では、定期的に通うこどもたちに言葉や歩行などの訓練をおこなっています。こどもを通わせている会社員の親御さんの場合、
【自宅】→(送迎)→「保育所」→(送迎)→「児童発達支援事業所」→(送迎)→自宅】
という流れで、3回の送迎が必要です。
このうち、施設の送迎がない場合は、保護者が仕事を抜けて送迎しなければなりません。
児童発達支援事業所の多くは、保育所送迎のなく、親御さんは保育所の預かりが終わる午後、児童発達支援事業所から保育所までの送迎が必要です。
夕方まで児童発達支援事業所で過ごした後は、施設の送迎車で自宅まで送ってもらうケースがほとんどとなっています。
ただ、話題になった児発事業所は、都内でも珍しく保育所送迎に対応していました。
保育所から児童発達支援事業所までの送迎を保護者の代わりに事業所が受け持っていたのです。
なぜ保育所送迎が問題に?
東京都では、保育所送迎について明確な態度を示していません。
国の制度上は、保護者の送迎をイメージして児童発達支援事業所のシステムが運用されているからです。
ただ、この施設では、保育所送迎も当然のこととして、行政からの給付金を申請。
申請書類には送迎場所を具体的に指定する必要がないため、保育所送迎の給付金も支給されています。
なぜ、保育所送迎が問題になるのでしょうか。
自宅から保護者が送迎したり、施設から自宅に送迎してもらったりする場合は、必ず出発から到着までの間に保護者の手が入ります。
しかし、保育所から児童発達支援事業所の間の事業者送迎は、保護者がいない状態で送り迎えがおこなわれます。
そのため、保護者がいないと事故や事件に遭遇する可能性がある、というのが行政が保育所送迎をあいまいにしている理由と考えられます。
児童発達支援事業所によっては、こうした都の方針を受けて、保育所から事業所までの送迎分は申請しない代わりに、目に付かないかたちで送迎している施設もあるようです。
保育所送迎は自治体によって対応が分かれる
コロナ禍で働き方が変わってきているとはいっても、保護者が働き続けるために事業所の保育所送迎が受けられるかどうかは、とても大切な問題です。
ただ、保育所送迎を認めるか、給付金を支払うかどうか、東京都のように消極的な自治体もあれば、千葉県や埼玉県、大阪府のように親の就労継続のためにも給付対象となっているケースもあり、さまざまです。
神奈川県のように、保育所送迎を認めているものの支給対象にはなっていない自治体もあります。
発達障がいのこどもにとっても送迎は大切な問題
発達障がいを抱えるこどもの親御さんにとっても、こうした送迎の問題に直面する場合が少なくありません。
自宅から、保育所や放課後等デイサービス、特別支援学校の通所・通学で施設や学校の送迎対応があるかどうかで、保護者の働き方や日々の負担は大きく変わってくるからです。
それでは、放課後等デイサービスのような発達支援の現場では、どのような送迎がおこなわれているのでしょうか。
次回の最終回で見ていきましょう。
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