発達障がいのこどもの特徴とは?日常生活で生きづらさを感じているこどもたちのサインを知ろう②
発達障がいは、自閉症スペクトラム症、ADHD、LDなど、こどもによって現れる障がいにちがいがあります。それぞれに特徴があるのはもちろんのこと、一種類だけ現れるこどももいれば、複数の障がいを併せ持つこどももいます。
発達障がいの原因は、生まれつき脳の機能に偏りがあると考えられています。こども一人ひとりで特性は異なっていて、症状の特徴もさまざまに見られます。
それでは、乳児期や幼児期、小学校入学後の学童期にかけて、それぞれどのように発達障がいの特徴が現れるのでしょうか。
そこで2回目の今回の記事では、発達障がいのこどもの特徴を年齢別に見ていきましょう。
乳児期・幼児期で発達障がいの診断がおりる時期
発達障がいは生まれつきそれぞれのこどもが持っている特性です。したがって、発達障がいの症状そのものがなくなるわけではないと考えられています。しかし、早期発見によって発達支援(療育)をできるだけ早くスタートすれば、日常生活で出会うさまざまな困難な壁を低くすることができます。支援しだいで発達障がいの特徴が見えづらくなるのです。
「発達障がいは早期発見が大切」といっても、先天的な脳機能の偏りを生後すぐ見つけることは困難です。成長とともに少しずつこども本人の特性が現れはじめてから「うちのこどもは、発達障がいかもしれない?」と感じるようになります。
さらに、発達障がいの種類によっても年齢によって診断が受けられる時期にちがいがあります。
コミュニケーション能力や強いこだわりを示す自閉症スペクトラム症(ASD)の場合、早いこどもで1歳半をすぎる頃にはASDの疑いを見せ始めます。その後、正式な診断を受けるのは3歳以降です。ADHD(注意欠陥多動性障がい)は多動性や衝動性、不注意といった3つの特徴が濃く現れるようになる4歳をすぎてから。一方で、LD(学習障害)のように基礎学力の一部で困難さを生じる発達障がいの場合は、本格的な学習が始まる小学校入学以降に診断がおります。
乳児期・幼児期の発達障がいの種類と特徴
乳児期や幼児期で発達障がいの特徴が現れはじめるのは、自閉症スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠陥多動性障害)の2種類です。
それぞれ具体的なポイントを簡単にまとめてご紹介します。
自閉症スペクトラム症(ASD)
生後6か月くらいから発達障がいのサインが見られるようになります。表情があまりなく、ほとんど笑顔を見せません。視線が合いづらい、指さしをしても反応しない、言葉の発達が遅れやすいといわれています。また、音や刺激への反応が鈍い、母親にもだっこされるのを嫌がって泣きます。大人しいので育てやすいこどもと思われるケースも少なくありません。
ADHD(注意欠陥多動性障害)
生まれてからすぐ多動性が現れるこどもはレアです。じっとしていられない、注意力がつづかない、といったADHDの症状は乳幼児期のこどもの特徴と共通しているため、発達障がいの疑いが遅れることが多く見られます。
このように、こどもの特性と似通っていることもあり、乳幼児期に当たる3歳から5歳頃のこどもの発達障がいを診断するのはかなり難しい問題です。そのため、実際には小学校に入学する直前や、実際に学校生活がはじまってから発達障がいと診断されるこどもが多くなっています。
小学生〜中学生の発達障がいの特徴
就学期に入ると、学校での集団生活や本格的な学習がスタートするため、発達障がいの特徴が現れやすくなります。発達障がいを抱えたまま日常生活を送ると、さまざまな場面で困りごとを感じやすくなるのです。
小学校1、2年生の発達障がいの特徴
小学校低学年は、周りのこどもたちも幼児期の特徴を残ったまま生活しているため、発達障がいの特性に気づきにくい時期です。しつけの問題、勉強を頑張っていないから、など、定型発達のこどもたちと同じ教育を受けて、自信をなくしたり、プライドが傷ついて劣等感に悩むこどもたちが見られます。
低学年の時期は、成功体験を積み重ねながら、自分に自信をつけていく大切な時期です。失敗しても努力をして達成する喜びを感じられるようなサポートが必要です。
日常生活では次のような特徴が現れやすくなります。
・授業中でも席にじっと座っていられない
・気持ちのコントロールが苦手
・予定変更や環境変化についていけない
・自分だけのこだわりやルールが強い
・他人との距離感が遠すぎる/近すぎる
・相手によって人間関係の築き方が極端
・感覚過敏/感覚鈍感
・音の刺激に敏感に反応する
・偏食が多い
小学校3、4年生の発達障がいの特徴
発達段階では「9歳の壁」と呼ばれる言葉があります。ちょうど小学校3年生を境に、学校での集団生活や友人関係、学習レベルなどが複雑になってくるため、悩むこどもが増えてくる時期です。
小学校中学年に入ると、学校のルールを身につけた上で、こどもたちだけの独自のルールで遊ぶ、ルールを守りながら少数や大人数での人間関係を使い分ける、といった高度なソーシャルスキルが求められます。
また、学習面では、低学年まではシンプルで生活に根ざした具体的な内容を取り扱っていましたが、実生活でわかりづらい抽象的な概念(小数・分数、電気など)の勉強がスタートします。
日常生活で現れやすい特徴は次の通りです。
・チームスポーツで極度に勝ちにこだわる
・勝つまでやり続けたり、独自のルールを作ったりする
・より濃密な友人関係を築く時期にもかかわらず、グループ内の独自のルールや空気がわからないため孤立する
・教科書やノート、プリント類の整理が苦手
・宿題や明日の準備が自分でできない
小学校5、6年生の発達障がいの特徴
こども同士で、それぞれの個性や才能が客観的に理解しはじめるため、自信を失いやすい時期です。幼児期の全能感が弱まるため、周囲を気にしたり、コンプレックスを感じたりしはじめます。
発達障がいの特性で学習や集団生活がうまくいかないようになると、孤立化してメンタル面への影響も現れはじめるのがこの年齢です。クラスメイトに合わせようとしてもうまくいかない、学習が難しくなってついていけない、などの壁にぶつかります。
生活面で起きやすいのは次のような特徴です。
・注意力がつづかず、集中して授業が聞けない
・不注意が増えて、宿題を忘れることが多い
・同性同士で「性」の話で盛り上がることができない
・グループへの帰属意識が弱いためクラスで浮いている
・学習面でケアレスミスが増える
・板書を取るのに時間が掛かって授業に遅れてしまう
・文章の意味が読み取れない
まとめ:発達障がいのこどもの特徴とは?日常生活で生きづらさを感じているこどもたちのサインを知ろう②
発達障がいだと診断がおりるのは、障がいの種類によって時期が異なります。そのため、生後すぐに診断を受けられるケースはほとんどありません。自閉症スペクトラム症やADHDであれば乳幼児期に特徴が現れはじめるため、疑いがあるようなら早めに専門医に相談して、適切な支援を受けることが大切です。また、集団生活や本格的な学習が始まる小学校入学以後に、発達障がいの診断を受けるこどもが増えています。
発達障がいの特性をそのままにしておくと、学校生活や社会生活がうまくいかず、日常生活に支障をきたすばかりか心身のバランスを崩すこともあります。今回ご紹介した発達障がいのこどもの特徴を参考にしながら、発達支援事業所や放課後等デイサービスなど、療育サービスも検討していきましょう。
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