発達障がいのこどもの受給者証とは?役割や取得方法、療育手帳との違い
発達障がいのあるこどもさんをお持ちの場合、利用したいサービスによって受給者証が必要になることがあります。発達障がいと診断されたときに、自治体で療育手帳を発行してもらう場合は多いですが、受給者証はまだという親御さんも少なくないかもしれません。
受給者証は、福祉サービスを利用したいときに必要な証明書です。
そこでこの記事では、放課後等デイサービスなどの利用で必要な受給者証について、その役割や取得方法、申請方法のほか、療育手帳との違いも解説します。
受給者証とは?
受給者証は、発達障がいのあるこどもたちが「障害児通所支援」を利用したい場合に必要な、市区町村が発行する証明書です。
正式には「障害福祉サービス受給者証」ですが、「受給者証」や「通所受給者証」と呼ばれることもあります。
受給者証の交付を受けると、障がい児を対象とした福祉サービスが利用できます。
障害福祉サービス受給者証で利用できる福祉サービスは、主に大きく分けて次の2種類があります。
1.障害児通所支援
日帰りで施設に通って発達支援を受けるサービスです。
児童発達支援事業所や放課後等デイサービスなどがあります。
2.障害児入所支援
障害のあるこどもが入所して発達支援や治療を受けるサービスです。
医療型入所施設や福祉型入所施設などがあります。
▼色々な種類がある「受給者証」
ちなみに、障害福祉サービス受給者証のうち、障害児通所支援には「通所受給者証」、障害児入所支援には「入所受給者証」が必要です。
なお、福祉の分野で「受給者証」と呼ばれる証明書は数が多く、混同しやすいので注意しましょう。ここで紹介した「障害児入所支援受給者証」をはじめ精神科の通院で利用できる「自立支援医療受給者証」も「受給者証」といわれます。
この記事では、とくに放課後等デイサービスを利用する際に必要な「通所受給者証」について解説していきます。
受給者証に書かれていることは?
受給者証には、福祉サービスを利用するときに必要な次の情報が記載されています。
・サービス種別
・子ども本人と保護者の住所・氏名・生年月日
・サービスの種類
・支給量(1ヵ月あたりの利用可能日数)
・負担上限月額
受給者証があれば原則1割負担で利用できる
受給者証があれば、放課後等デイサービスなどの福祉サービスの利用料のうち9割を自治体が負担してくれるので、自己負担1割で利用できます。
ただし、施設によっておやつ代や材料代などを別途請求する場合があります。
世帯所得で負担上限月額は異なる
原則1割の自己負担で放課後等デイサービスなどが利用できますが、収入に応じて利用者の負担を軽くするルールがあります。
一ヶ月あたりで利用したサービス量は同じでも、負担上限月額は利用者の世帯ごとの所得に次の4つの区分に分かれます。
1.生活保護受給世帯 負担上限月額0円
2.市町村民税非課税世帯 負担上限月額0円
3.市町村民税課税世帯(所得割28万円未満) 負担上限月額4,600円
4.市町村民税課税世帯(所得割28万円以上) 負担上限月額37,200円
ただし、負担上限月額の認定を受けるためには、申請が必要です。申請を受け付けてから世帯の所得区分を判定後、負担上限月額が認定されます。申請しない場合は、4.市町村民税課税世帯(所得割28万円以上)の自己負担割合となってしまいますので、忘れず手続きをしましょう。
受給者証の取得方法
受給者証はどのような流れで取得できるのでしょうか。ここでは、初めて放課後等デイサービスを利用するケースで紹介していきます。
ステップ1.施設の見学・相談または市区町村窓口での相談
通所受給者証は放課後等デイサービスを実際に利用するまでに取得しておく必要があります。交付されていなくても施設の見学や相談はできるので、気になる放デイに問い合わせてみましょう。
受給者証の手続き方法についてわからない場合は、放デイの担当スタッフからもアドバイスを受けられます。
施設の見学は子どもと一緒でなくても、親御さんだけでも可能です。見学したときに、いつから利用ができるか、こどもで気になることなど、疑問点を相談しておきましょう。相談のときに、施設側から受給者証の申請や施設との契約についての説明も受けられます。
もし、地域にどんな放デイがあるかわからないときは、市区町村の児童福祉や障がい福祉の窓口で相談してみましょう。こどもの状況や希望条件を伝えて、いくつかピックアップしながら放課後等デイサービスを絞り込みます。
なお、自治体によっては受給者証の申請よりも先に、放課後等デイサービスの見学や相談を勧められることもあります。
ステップ2.受給者証の申請
利用した放デイが決まったら、受給者証の申請書や必要書類を添えて市区町村の担当窓口に申請します。
申請に必要な主な書類は次の通りです。
・支給申請書
・障害児支援利用計画案
・療育手帳や医師の意見書など
→ 発達支援の必要性が確認できる書類
・マイナンバー など
発達障がいの診断を受けていない場合は、申請の前に発達外来や小児科への受診が必要です。発達障がいの診断を受けていて療育手帳があればスムーズに申請手続きができるでしょう。
小さな子どもの場合、まだ発達障がいの診断が下りないことがあります。そのときは、医師による診断書の代わりに、福祉サービスの利用が必要といった内容の医師の意見書で申請が可能です。ただし、療育手帳や医師の意見書を用意するには、発達外来や療育センターを予約して受診のうえ、医師に診断書や意見書を依頼しなければなりません。自治体によってケースバイケースですが、実際に書類が手に入るまで時間がかかる場合があるので、早めに準備をしてください。
また、障がい児支援利用計画案は、地域の相談支援事業所で作成を依頼できます。親御さんが自分で作成するセルフプランでも申請できるので、必要書類を集める際に確認しておきましょう。
ステップ3.聞き取り調査・審査
受給者証の申請を受け付けた市区町村は、調査員を派遣してこどもの障がいの様子や生活状況、家庭環境などをヒアリングします。アセスメントと呼ばれることもあります。
聞き取り調査は面接や自宅訪問で実施されますので、どのようなサービスを利用したいか希望を伝えましょう。
調査の情報に基づいて、自治体はこどもにあわせて利用可能日数や利用内容などを検討して支給決定を判定します。
ステップ4.通所受給者証の発行
自治体での審査で支給決定の場合、受給者証が交付されます。
ちなみに、申請から受給者証の交付まで通常2週間程度、自治体によっては1ヵ月以上かかる場合があります。利用したい施設が決まったら、すぐに受給者証の申請手続きを進めましょう。
ステップ5.施設との契約
放課後等デイサービスなど利用する施設と契約書を交わします。契約時は受給者証が必要なので、忘れず持参してください。
受給者証でよくあるQ&A
Q1.受給者証の有効期間は?
A1.通所受給者証は最長1年間の有効期間で交付されます。そのまま利用を続けたいときは、有効期間終了の1、2ヵ月前に自治体から更新に関する必要書類が届きますので、忘れず申請しましょう。
Q2.とりあえず受給者証だけ取得しておくことはできますか?
A1.受給者証は、利用したい施設が決まった上で申請をします。審査では、福祉サービスの種類や利用開始予定日、一ヶ月の利用予定日数などを含めて受給が判定されるからです。
Q3.療育手帳を交付してもらっているのですが、受給者証も申請が必要ですか?
A1.放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など通所支援サービスを利用したい場合は、受給者証が必要です。
療育手帳とは、医師の診断によって障がいの種類や等級を定めた公的証明書です。一方で、受給者証は、利用したい放課後等デイサービスなどの利用を自治体が認めた証明書です。
つまり、療育手帳はなくても通所受給者証さえあれば、放課後等デイサービスの利用は可能なのです。
まとめ:発達障がいのこどもの受給者証とは?役割や取得方法、療育手帳との違い
発達障がいのあるこどもが放課後等デイサービスや児童発達支援事業所に通いたい場合は、自治体の交付する受給者証が必要です。
利用料の1割負担で利用できる受給者証には、福祉サービスの種類や利用可能日数、負担上限月額などが記載されています。利用したい放課後等デイサービスが決まったら、すぐに通所受給者証の申請もおこないましょう。
なお、自治体によって申請から受給者証の交付まで1ヵ月から2ヵ月程度かかる場合もあります。
放課後等デイサービスは、療育手帳がなくても受給者証があれば利用できる通所支援施設です。もし大阪で放デイを探しているなら、吹田や茨木周辺に展開している「こどもプラス大阪」にご相談ください。受給者証の申請についても丁寧に案内しながら、お子さんにあった放課後等デイサービスの利用をサポートします。
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