発達障がいのこどもは留守番できる?留守番ができないときのこどもの居場所
共働きや経済状況の変化などによって、保護者がこどもに留守番をさせて長時間家を空けるケースが増えています。
一方で、こどもを留守番させる場合、さまざまな心配や不安も付き物です。とくに発達障がいのあるこどもだけの留守番について悩む声がよく聞かれます。
そこでこの記事では、発達障がいのこどもの留守番について解説していきます。どのくらい生活スキルがあればこどもを留守番させられるのでしょうか。また、留守番が難しい場合の預け先とは?
一緒にこどもの留守番について考えていきましょう。
留守番ができるかどうかは個人差が大きい
こどもが家でひとりで留守番ができるかどうかは、判断が難しいところです。
発達障がいの種類や症状の程度によっても、また留守番の時間やお家の環境によっても異なります。
例えば、自閉スペクトラム症(ASD)のAくんは小学校高学年になると1時間くらいの留守番ができるようになりました。もともと不安感が強かったため、それ以上長くなると親が帰宅後にこどもの気持ちが不安定になるおそれが合ったためです。
一方で、同じ自閉スペクトラム症のあるこどもさんでも、保育園や小学校入学の頃から数時間の留守番ができたケースもあります。
実際の体験談などを見ると、幼稚園・保育園から低学年までは1時間程度、高学年になると数時間の留守番ができるケースが多いようです。
うまくいっている留守番の例
発達障がいのあるこどもだけで留守番をさせている家庭では、留守番のルールを決めてこどもに守らせて成功しているところもあります。
例えば、小学校4年生でASDのグレーゾーンであるBさんは、親子で一緒に何度も留守番ルールを確認して、短時間から留守番を慣れていきました。
Bさんのお家の留守番ルールのポイントは次の4つです。
玄関のカギは開けないこと
玄関のピンポンが鳴って誰かやって来ても出ないこと
一人で勝手に家の外に行かないこと
ガスコンロに触らないこと
また、Bさんの親御さんは、ASDのこどもが特定の動画を見続けるといった特性から、こどもがお気に入りのアニメをテレビで流して見ているように繰り返し教えておきました。
ただし、このBさんのケースでも、最初からうまくいった訳ではありません。初回は15分の留守番からスタートしてみましたが、家に帰ると玄関のカギが開いていて、家中探してもどこにもいなく探し回りました。思い当たる場所をひとつずつ探そうとまずよく遊ぶ公園に向かうと、砂場で遊んでいてひと安心しました。
そんなBさんも、今では短時間なら留守番ができるようになったということです。
では、発達障がいのある中学生の場合はどうでしょうか。
こちらもケースバイケースではありますが、中学生になると学校や放デイなどで基本的な生活習慣は身についているので、テレビやゲームなどで自分の時間を過ごすことができます。
ただし、時間感覚や室温に対する感覚が薄かったり、防犯を気にしなかったりする傾向があるこどももいるため、留守番にはやっていいこととやってはいけないことのルール作りが大切といえるでしょう。
「何時になったらご飯を食べる」
「エアコンは付けておく」
「玄関や窓のカギは開けない」
こうした留守番ルールを親子で繰り返し確認して、夏休みなど長期休暇から留守番をお試ししてみるのがおすすめです。
どうしても留守番ができないこどもの居場所は?
発達障がいの特性や家庭環境のため、こどもだけでは留守番が難しい場合はどうすればよいでしょうか。
そのときは、次のような預け先が考えられます。
祖父母や親戚の家
隣近所の家
学童保育・放課後児童クラブ
保育園・幼稚園・学校
児童発達支援
放課後等デイサービス
このうち、最後の2つ、児童発達支援と放課後等デイサービスは発達障がいのこどもたちが気軽に利用できる施設です。発達障がいのあるこどもの療育を目的として運営されているので、発達支援に精通したスタッフが放課後や休日の数時間をサポートしてくれます。
ちなみに、児童発達支援と放課後等デイサービスの大きな違いは利用できる対象年齢です。児童発達支援は未就学児が中心ですが、放課後等デイサービスは小学校から高校生の児童や生徒が通所できます。
放課後等デイサービスとは?
小学校から利用できる放課後等デイサービスとはどういった福祉施設なのでしょうか。
放課後等デイサービスは、6歳から18歳までの年齢を対象にした児童福祉施設です。「障がい児の学童」と呼ばれることもあり、小学校から高校生までの幅広い年齢のこどもたちが放課後や夏休みなど長期休暇に通所してさまざま発達支援を受けて過ごします。
それでは、放課後等デイサービスでは具体的などのようなサービスを提供しているのでしょうか。
発達障がいのあるこどもに対する発達支援が大きな目的です。学校や家庭以外の居場所を作って集団生活に馴染む訓練を受けたり、日常生活に必要な生活習慣を学びます。
また、遊びやゲームや運動を楽しんだり、宿題や作業をしたりします。
このほか、放デイによってはソーシャルスキルトレーニングを通して社会性や集団でのマナーを身につける訓練をしている施設も多く見られます。
ちなみに、放課後等デイサービスと保育所や学童との違いはどんなところなのでしょうか。
まず、預かる対象年齢が異なります。保育所は小学校に上がる前の乳幼児が利用できます。また、学童保育は就労している保護者のこどものうち、小学校3年生までの児童を学校で預かっています。
乳幼児も学童も障害があるこどももないこどもも利用できますが、発達支援に特化したサポートはとくに受けられません。
小学校就学以後、発達障がいと診断を受けたり、グレーゾーンの疑いがあるこどもさんの場合は、療育を目的とした放課後等デイサービスを利用することをおすすめします。
まとめ:発達障がいのこどもは留守番できる?留守番ができないときのこどもの居場所
今回は発達障がいのこどもと留守番について見て来ました。
発達障がいのあるこどもだけでも、障がいの種類や程度、身についているスキルなどによって十分に留守番はできます。ただし、短い時間から試してみる、留守番のルールを守らせるなど、少しずつ留守番に慣れていく工夫が必要です。
もし留守番が難しいこどもの場合は、放課後等デイサービスといった発達障がい児の支援が受けられる施設を利用するといいでしょう。日常生活に必要な訓練や社会性を身につけるソーシャルスキルトレーニングなど、こどもの発達支援に役立つ場を提供しています。
吹田の「こどもプラス大阪」もソーシャルスキルトレーニングをはじめさまざまな発達支援に取り組んでいる放課後等デイサービスです。「留守番が心配だけど、居場所がない」といった悩みをある方は、是非一度お問い合わせください。
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