発達障がいのこどもにとって運動療育はなぜ大切なのか②
前回は、発達障がいや発達性協調運動障がいを抱えるこどもの多くが、なぜ運動が苦手なのかについてご紹介しました。
こどもにとって、運動はただ身体を動かす「遊び」の要素だけではありません。
運動が苦手なこどもがそのまま大きくなると、運動を通して脳の発達を促すチャンスが乏しくなります。そのため、発達障がいの特徴を強く持ったまま成長してしまうのです。
ここからは、こどもの発達分野でよく聞く二種類の運動についてご紹介します。
粗大運動と微細運動
運動の特徴によって、粗大運動と微細運動の2種類に分ける考え方があります。
どちらもこどもの発達には欠かせないのですが、それぞれの違いをまず見ていきましょう。
粗大運動は日常生活動作の基本
粗大運動は、全身を使った大きな動きが中心です。
・姿勢を保つ
・バランスを取る
・身体全体を大きく使って歩く/走る
・ジャンプする
このように、身体を大きく使った運動を粗大運動を呼びます。
こどもが生まれて乳児期の粗大運動の代表例は、手足を伸ばす、身体をひねるといった動作です。
また、寝返りを打つ、ハイハイをする、つかまり立ちをする、歩く、など、粗大運動は人が日常生活で基本となるさまざまな動作を含んでいます。
粗大運動ができなければ、年齢に関わらず、人は日常生活をうまく送ることができません。
立ったり座ったり、歩いたり、走ったり、同じ姿勢をずっとキープしたり。
もちろん、スポーツは粗大運動の連続といえます。
粗大運動に加えて協調運動も必要で、何気なくおこなっているように見えても、実は複雑な動きを連携して、連続しながら身体を動かさなければならない、高度な動作なのです。
よく例に挙げられるのがキャッチボールです。
相手が投げたボールを目で捉えて、ボールがどこに落下するかを予測しながら、自分の体を動かして、腕や手を伸ばしながらボールのやって来る位置でボールをつかみます。
キャッチボールは単に身体を動かせばいいというものではなく、視覚と身体機能を協調させながらスムーズに自分の体を動かしているのです。
微細運動は細かな動作
大きな動きが中心の粗大運動と違って、微細運動は手や指を緻密に使いこなす動作です。
・鉛筆を握って文字を書く
・筆で絵を描く
・箸を使って食事をする
・積み木やおはじきで遊ぶ
このように、微細運動は小さい物を手先を使って巧みに扱うのが特徴で、運動としてはより高度な動きだといえます。
食事を取ったり身支度を整えたりといった日常での生活習慣に関わる動きはもちろんのこと、手芸や工作、料理など趣味や特技に関わるものまで、人間ならではの運動が微細運動なのです。
まとめ|発達障がいのこどもにとって運動療育はなぜ大切なのか②
今回は粗大運動と微細運動の特徴についてご紹介しました。
身体全身を使って日常生活の動きの核となる粗大運動と細かな作業をともなう微細運動は、どちらも私たちの生活に欠かせない動作です。
最終回の次回は、粗大運動と微細運動の発達を促進するポイントや、運動療育の効果についてまとめます。
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