ストラテラとコンサータの違いから発達障害へのアプローチを考えよう
発達障害の治療でよく使われている治療薬に、ストラテラとコンサータがあります。
最近では、ADHDや自閉症スペクトラム、学習障害を抱えて生活している大人の発達障害にも処方されているお薬です。
なかでもADHDの症状を治療するとき、薬物療法を使うケースが増えていて、ストラテラとコンサータは症状を和らげる効果が期待されます。
この記事では、ADHDをはじめ発達障害の治療薬として知られているストラテラとコンサータの違いをもとに、病院での発達障害の治療の流れについて見ていきましょう。
「発達障害=すぐお薬」ではない
ADHDは発達障害の代表的な障害のひとつです。
多動性や衝動性、そして不注意といったキーワードから症状の傾向を知ることができます。
ADHDの3つのタイプ
同じADHDでも多動性や衝動性が優位なタイプ、不注意が優位なタイプ、両方が混ざっているタイプといった3つのタイプがあります。
ADHDの原因は、脳内の神経伝達物質の連絡になんらかの問題があるからと考えられていますが、詳しいことはまだ解明されていません。
ただし、ストラテラとコンサータなどADHD治療薬で症状が和らいだり、改善したりするため、積極的に使われるようになってきました。
ADHD治療薬を使うには、日常生活にどの程度支障があるのかを医師が診断して決めていきます。
薬物療法をベースにしないと社会生活が困難な方もあれば、まずは行動療法や生活習慣の指導、家族の理解や学校や職場の環境を整えるなど、お薬以外のアプローチを使うことも少なくありません。
GAF尺度とは
医師が、ADHD治療薬を処方する基準にGAF尺度とよばれるものがあります。
日常生活でADHDがどのくらい影響を与えているかを客観的に判断するフローチャートです。
GAFは60以下で社会への不適応状態が中等度となって、お薬を使うかどうかの目安になっています。
・GAF値51以上(軽度)
薬物療法より心理社会的な治療や支援のみで治療をすすめる
・GAF値51〜60(中等度)
心理療法や社会的なサポートをつづけて数ヶ月しても改善が見られない、悪化するようなときに薬物療法を検討する
・GAF値50以下(重度)
薬物療法を積極的に検討しながら、心理療法や社会的な支援をする
つまり、ADHDだからすぐに治療薬を飲まなければならないわけではなく、GAF値をはじめさまざまな診断のもとで薬物療法を選ぶかどうか検討してお薬がスタートするのです。
4種類のADHD治療薬
国内のクリニックで使われているADHD治療薬は次の4種類で、
コンサータ
ストラテラ(アトモキセチン)
インチュニブ
ビバンセ
です。
なかでもコンサータ、ストラテラ、インチュニブの3種類がよく処方されています。
とくにコンサータとストラテラはファーストチョイスで使われることが多いお薬です。
薬の種類や働きにそれぞれ特徴があるので比較されることも多くなっています。
コンサータとストラテラの違い
コンサータとストラテラは飲む回数や効果が出るまでの期間、お薬の効き目の持続時間や副作用などに違いがあります。
・服用回数
コンサータは、1日1回、朝に服用するタイプ。ストラテラは大人は1日1回、子どもは1日2回、朝と夕方に服用します。
・効果が出るまでの時間
コンサータは3回ほど飲めば効果がでるかどうかがわかりますが、ストラテラは1〜2ヶ月服用しづつける必要があります。
・持続期間
コンサータは、10〜12時間で夕方には薬効が消えていくのに対して、ストラテラは24時間効き目がつづきます。
・副作用
コンサータの主な副作用は食欲低下や体重減少のほか寝付きが悪くなったり、チックが増えたりします。
一方で、ストラテラは、眠気や吐きけ、食欲低下や頭痛があらわれることがあります。
コンサータとストラテラの薬の働き
コンサータとストラテラは飲み方や薬効の持続期間などにいくつか違いがありました。
2つの薬で、脳への作用が異なるためで、ひとつずつ効能をご紹介します。
コンサータ
コンサータは、脳細胞のトランスポーター(ドーパミン、ノルアドレナリン)が情報を送り出す側の前シナプスに回収されるのを防ぎます。
結果、神経伝達物質を高い濃度で受け取り側の後シナプスに送り届けられます。
副作用のひとつに寝付きの悪さがあります。
交感神経にかかわるドーパミンやノルアドレナリンのはたらきを活性化するためです。
ストラテラ
ストラテラも、ドーパミンやノルアドレナリンの再取り込みを防いで、活性化します。
ストラテラとの違いは、ノルアドレナリンへのはたらきかけが強いこと。
そのため、ストラテラは1〜2ヶ月を目安に少量から試していきます。
眠気や食欲低下などの副作用が出づらくするように調整しながら薬物療法がおこなわれます。
このように、ADHD治療薬は医師と相談しながら服用していきます。
薬はやめることもできる
なお、症状の改善や日常生活が落ち着いてきたときは、薬の量を減らしたり、薬をやめるたりすることも可能です。
「一生飲み続けなければならない」といわれることがありますが、本人の状態にあわせて薬物療法を続けるか決められます。
薬物療法以外の心理社会的アプローチならこどもプラス大阪
ADHD治療薬は効果も期待できるので、日常生活に支障が出ているお子さまが服用するケースが増えています。
ただし、薬物療法はあくまでADHDを含め発達障害に対して数あるアプローチのなかのひとつにすぎません。
ADHDの症状と上手に付き合っていくテクニックを身につけるのも大切なことです。
たとえばソーシャルスキルトレーニング(SST)は、ADHDのお子さまが日常生活で周囲とぶつかったり、溶け込めなかったりする問題を解決するためにとても役立ちます。
あいさつをする大切さや順番を守ることの意義、貼り紙や指示メモなどにしたがって行動する習慣を身につけるなど、自分との付き合い方を学ぶとともにコミュニケーションスキルを学べるトレーニングです。
こどもプラス大阪では、こうしたソーシャルスキルトレーニング(SST)にも力を入れているので、ストラテラとコンサータといったADHD治療薬とはちがったお子さまへの働きかけができます。
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