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2022-08-15

発達障がいのこどもがソーシャルスキルトレーニングを受ける方法とは?社会生活に必要な訓練のポイント

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは、人が社会で生きていくとき、対人関係や集団生活で欠かせないさまざまなスキルを学んでいく訓練法のことです。とくに発達障がいのあるこどもへの療育で広く取り入れられています。学校や児童発達支援事業所や放課後等デイサービスでは、ソーシャルスキルトレーニングが大きな療育の柱になっているほどです。

そこで今回の記事では、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受ける方法や知っておきたいポイント、日常生活で活用できるポイントなどをまとめてご紹介します。

ソーシャルスキルトレーニングとは

ソーシャルスキルとは、社会性や社会に出たときのマナーのことです。社会生活では、対人関係や集団行動など人とのコミュニケーションが必要なシーンで、さまざまな社会的能力が求められます。たとえば、人とかかわるときには自分の感情をコントロールして理性的に行動する、相手の表情や言葉から状況や気持ちを理解して適切な行動をしていく、など、その場の刻々と変化する状況に合わせて自分がもっともふさわしい行動を選択していく力、それがソーシャルスキルです。

かつて、ソーシャルスキルは生活のなかで自然に学びながら身につけていました。大家族や集団生活が当たり前だった時代は、対人関係の距離が近く濃密だったこともあって、好むと好まざるとにかかわらず、人とのかかわりのなかでソーシャルスキルを学んでいたのです。

しかし、少子化や核家族化などこどもは大人たちはもちろんのこと、こどもと接する機会も減っている現代、自然にソーシャルスキルを身につけられる環境ではなくなっています。共働きで親御さんがこどもと接する時間が少ない、親から子育て方法を受け継ぐ機会が減って、育児に迷っている、など、社会そのものがソーシャルスキルを養いづらい環境になっているのです。

ソーシャルスキルが乏しいまま成長すれば、相手の気持ちをくみ取る、人との距離感の取り方や接し方などがわからないまま、学校生活を過ごして社会へと巣立ちます。そのため、対人関係でトラブルが起こしやすい、いじめや不登校などになりやすい時代ともいえるでしょう。

このように、発達障がいの有無にかかわらず、ソーシャルスキルは人が生きるうえでとても大切な能力です。とりわけソーシャルスキルが身につきづらい発達障がいを抱えたこどもたちには、適切な訓練が必要といえます。そのためにプログラム化されてきたのが、ソーシャルスキルトレーニング(SST)です。

発達障がいのあるこどもは、自分をコントロールしたり、相手の気持ちを理解したりするのが困難といわれています。たしかに、一人ひとりの発達の段階によって、同じ年齢のこどもたちよりソーシャルスキルがうまく身についていない場合もあるでしょう。だからといって、ソーシャルスキルが身につかないわけではありません。

ソーシャルスキルトレーニングを通して、発達障がいのこどもたちも自分のペースで社会性を身につけて、相手とのコミュニケーションを図ったり、トラブルを起こさなくなっていったり、といった効果は多く見られます。つまり、ソーシャルスキルはこどもの性格やしつけの問題ではなく、ソーシャルスキルトレーニングを通して改善できるものなのです。

ソーシャルスキルトレーニングのメリットとは

ソーシャルスキルトレーニングを通してソーシャルスキルが身につくと、どういったメリットがあるのでしょうか。ここでは、4つのポイントに絞ってご説明します。

メリット1.学校や療育施設などでの集団生活がしやすくなる

ソーシャルスキルがうまく身につけていないまま学校で集団生活に入ると、授業中じっとしていられない、ずっとしゃべり続けてしまう、お友だちと仲良くなれない、といった問題が起きやすくなります。学校のルールやコミュニケーションスキルが理解できないままでは、集団生活が基本の学校ではうまく溶け込めず、いじめや不登校の原因になることも珍しくありません。ソーシャルスキルトレーニングを通して、どういった発達障がいの特性からじっとしていられないのか、集中できないないのか、などを把握したうえで、一人ひとりのこどもの状況やペースに合わせて集団生活になじめるようにリードしていきます。

メリット2.人間関係を築けるようになる

相手の気持ちをくみ取ることが苦手な場合、ソーシャルスキルトレーニングでコミュニケーションスキルを学ぶと、お友だちを作ったり、仲良くなったり、しやすくなります。ソーシャルスキルトレーニングでは、あいさつのしかたから、声のかけ方、相手の表情や動作から意図を読み取る方法など、グループワークをしながら学んでいきます。

メリット3.感情がコントロールできるようになる

発達障がいの特性である不安や緊張を抱えやすいポイントをふまえて、喜怒哀楽やストレスをうまくコントロールして、集団生活にマッチするマナーを身につけます。感情のコントロールがうまくなれば、対人関係にもプラスの影響をもたらします。

メリット4.自分の気持ちを言葉で表現できる

発達障がいを抱えるこどもたちは、自分の気持ちをボディーランゲージで表現したり、かんしゃくを起こして伝えようとしたり、しがちです。そのため、急に叩く、遊びたいおもちゃを勝手に取るなど、周囲の人たちとトラブルになる言動を起こしやすくなります。ソーシャルスキルトレーニングを通して、まず相手の気持ちを察知する訓練をしながら、相手の状況や気持ちに合わせた言葉使いや表現方法を身につけます。

ソーシャルスキルトレーニングの一例

ソーシャルスキルは、人とのかかわりのなかで自然に身につくものです。そのため、大人たちは知らず知らずのうちに、社会に出たときのルールを学んでいるため、普段意識することはあまりないでしょう。

こどもの頃から、人との触れ合いを通して、社会生活でやっていいこと、やってはいけないこと、を学びます。こうした「常識」や「社会的能力」と呼ばれるものは、日常生活で言語化されて目にする機会はほとんどありません。それだけ、定型発達の人にとっては、ごく当たり前のものになっているのです。

一方で、発達障がいのあるこどもたちにとっては、脳機能の偏りや障がいの特性が原因で、ソーシャルスキルがうまく身につかないまま成長する場合があります。

ゲームになるといつもお友だちとトラブルになってしまう、というのもソーシャルスキルの問題と考えられます。ひとつのゲームをする場合でも、参加しているメンバーの様子を見ながら自分の言動を判断する、ルールを守らないとみんなで楽しく遊べない、といった感覚を感じながら楽しみます。自分だけ勝てば良いからといっても、ルールを無視してやってしまえば、参加メンバーから注意されたり、ケンカになったりして、ゲームそのものが中断してしまうでしょう。つまり、ソーシャルスキルが身についていないと、ただ自分だけの世界で遊ぶことになり、人との関わりを通した喜びや楽しみを得られないまま過ごしてしまうことになるのです。

発達障がいのある場合は、極度に勝ち負けにこだわったり、グループのルールがわからず、その場の雰囲気を読み取るのが苦手なこともあっても、周囲が注意してもその意味がわからない、といったケースが少なくありません。ソーシャルスキルトレーニングでは、ゲームはあくまで遊びで勝ち負けが付くのはしかたがないことや、勝ち負けよりゲームそのものを楽しむ感覚を大切にすること、負けても自分の感情をコントロールして相手にぶつけないこと、などを一人ひとりの障がいの特性や状況に合わせて、少しずつ学んでいきます。

ソーシャルスキルトレーニングは、言葉だけで説明して実現するものではありません。学校や放課後等デイサービスなど日頃の生活スペースのなかで、折に触れてステップを踏みながら、こども本人のペースで自然に社会性を身につけていくことが大きな特色といえます。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)が向いているこどもは?

ソーシャルスキルトレーニングは社会生活に必要な能力を身につける訓練法です。発達障がいのあるこどもはもちろん、社会での生きづらさを感じている大人も訓練を受けています。

発達障がいのこどもやグレーゾーンの疑いのある場合は、次のような特徴があれば、ソーシャルスキルトレーニングで改善が見込めます。

・言葉による指示を理解するのが苦手である
・その場の状況に合わせた判断ができない
・得意なことと不得意なことの差が大きい
・自分の感情や行動をコントロールできない
・人とのコミュニケーションが苦手である
・運動や細かな作業が苦手である
・不安や緊張が強く、情緒不安定である

ソーシャルスキルトレーニングの方法は?

ソーシャルスキルトレーニングでは、次のような5つのプロセスを繰り返しながら少しずつ社会性を身につけていきます。

1.教示(インストラクション)

こどもたちに、なぜそういう行動をしてしまうのか、どうしてこういった言動をしたほうがいいのか、ソーシャルスキルが必要な理由を伝えます。スキルが身について行動が変わると得られる効果も教えていきます。教示では、言葉や恵カードなどを使って、こどもがわかりやすい表現で工夫しながらスキルの目的と効果、その結果を提示します。

2 .モデリング

スタッフが手本となるソーシャルスキルにしたがって言動をやって見せます。また、ふさわしくない言動をやって見せて、それぞれこどもたちにどうすれば良いのかを考えさせる段階です。モデルを使った検証作業を繰り返すイメージで、次のような効果があります。

・新しい行動パターンを理解して身につけられる
・これまで身につけている誤ったスキルを理解して、コントロールできるようになる

モデリングでは、大人が手本を見せるほか、動画やプリントなどを使ってこどもたちがイメージしやすいようにリードしていきます。

3 .リハーサル

教示やモデリングの内容を踏まえて、スタッフやお友だちを交えたグループワークでロールプレイングをおこないます。シチュエーションを設定して、それに対するふさわしい言動をそれぞれの役割を担当して振る舞えていきます。シミュレーションを通して、こどもたちは、古い行動を書き換えたり、新しい行動を身につけたりする訓練をおこないます。

4.フィードバック

教示やモデリングを踏まえておこなったリハーサルでの行動や反応をこどもたちと一緒に振り返ります。

ソーシャルスキルにマッチする行動はしっかり褒めてつつ、
できなかったこと、難しかったことなど改善点をピックアップしながら行動の修正やアドバイスをしていきます。

5.般化(ホームワーク)

リハーサルやフィードバックを通して身につけたスキルを、実際に日常生活のなかで試していく段階です。特定の場所や相手だけでなく、どのような状況でもソーシャルスキルが発揮できるように普段の生活を通して繰り返し定着させていきます。

こどもによっては、ソーシャルスキルトレーニングの現場ではソーシャルスキルに沿った行動ができるものの、日常生活での応用が難しいことも少なくありません。せっかくトレーニングで獲得したスキルを日常生活で自然におこなえるようになるため、家庭でもリハーサルで使ったシチュエーションでロールプレイングをやってみる、日常生活で気になった点をノートにまとめておく、など、実際に心身を動かすことと、言葉で理解していくことの両方からソーシャルスキルの定着を図ることが大切です。

ソーシャルスキルの目標や課題を親御さんと共有しながら、ノートの記録などを参考に新たなソーシャルスキルで取り入れていくものを選んでいきます。

ソーシャルスキルトレーニングでは、以上のような5つの段階を繰り返しおこないながら、日常生活でこどもたちが無意識にソーシャルスキルを身につけられるようにリードします。そのため、ソーシャルスキルトレーニングでは、プログラムが一人ひとりのこどものモチベーションを高めるような魅力的な内余になっていることが大切です。また、ソーシャルスキルのために、発達障がいのあるこどものなかには、小さい頃から対人関係や集団行動にコンプレックスを持っていて、自信を失っているケースが多く見られます。ソーシャルスキルトレーニングをすれば、もっと自分の気持ちを言葉で伝えられる、お友だちと仲良くなれる、といった目的をはっきりイメージさせながらサポートしていく必要があります。さらに、タブレットや絵カード、学校や学級の選び方など、こどもたちの生活環境やツールを整えていくことも大切です。

ソーシャルスキルトレーニングが受けられる放デイとは

放デイとも呼ばれる放課後等デイサービスは、発達障がいのあるこどもたちが多く通所している療育施設のひとつです。ソーシャルスキルトレーニングを取り入れている放デイでは、こどもたちのペースに合わせて社会性を身につけるサポートをしています。

放課後等デイサービスは、児童福祉法に基づいて運営されている障がい福祉サービスのひとつです。利用できるのは原則として小学校から高校生までの障がい児で、生活習慣を身につけたり、社会生活に必要な支援を受けたりしながら、放課後や夏休みなどの長期休暇を過ごします。

ちなみに、小学校に入学するまでの未就学児には、児童福祉法に基づく児童発達支援事業所があります。

放課後等デイサービスは、障がい者手帳がなくても医師の診断書によって利用できる場合があります。ただし、利用する場合は、市区町村など自治体が発行する「障害児通所受給者証(受給者証)」が必要です。受給者証は前もって自治体で申請して交付を受けておくほか、放デイに入所相談をするときに手続き方法を教えてもらうこともできます。

放課後等デイサービスは、日常生活に必要な生活習慣やソーシャルスキルの訓練をすることが大きな目的のひとつです。ソーシャルスキルトレーニングを通して、対人関係や社会生活のルールを身につけます。また、着替えや準備、片付け、食事などの日常生活の基本的なスキルも学びます。ソーシャルスキルは、人との触れ合いのなかで身につけることが基本です。そのため、ソーシャルスキルトレーニングで教示やモデル、リハーサルを経て、フィードバックを繰り返しながら、家庭と合わせて放課後等デイサービスでもソーシャルスキルトレーニングをサポートしていきます。

まとめ:発達障がいのこどもがソーシャルスキルトレーニングを受ける方法とは?社会生活に必要な訓練のポイント

ここまで見て来たように、ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは、日常生活を通して社会生活で必要なルールやマナーを学ぶ訓練のことです。発達障がいのあるこどもたちはソーシャルスキルトレーニングが必要な場合が多いため、発達支援の現場では放課後等デイサービスをはじめさまざまな施設で取り入れられています。

吹田にあるこどもプラス大阪も、ソーシャルスキルトレーニングに力を入れて取り組んでいる放デイです。こどもたちは放課後や長期休暇で放デイに通いながら、スタッフやお友だちとの過ごす時間のなかで、ソーシャルスキルを身につけるようにサポートを受けています。もし発達障がいと診断されたり、グレーゾーンの疑いがあるこどもさんがいたりしたら、ソーシャルスキルは生きていく力を身につけるためにもとても大切なものです。ぜひ一度、ソーシャルスキルトレーニングの内容を含めて、放デイに関する相談をこどもプラス大阪に問い合わせてみてください。

 

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