発達障がいのこどもにむずむず脚症候群が多いってホント!?ADHDと脚の違和感の関係とは
発達障がいのこどもにむずむず脚症候群が多いってホント!?ADHDと脚の違和感の関係とは
眠れなくて、手足をずっとこする、叩く、歩き回るといったお子さんはいませんか。睡眠障害の一種で「むずむず脚症候群」と呼ばれる症状かもしれません。
レストレスレッグズ症候群とも呼ばれるこの病気は、一般的に高齢者に多く見られる病気です。しかし、こどもにもときおり見られる病気です。発達障がいのあるこどもの中で、睡眠障害としてむずむず脚症候群が見られる場合があります
。
そこで今回の記事では、発達障がいのこどもたちとむずむず脚症候群について解説し
ます。ADHDのように発達障がいのあるこどもは、睡眠障害を発症するケースが多
いと指摘されているため、詳しく見ていきましょう。
むずむず脚症候群とは
むずむず脚症候群とは、眠ろうとすると脚や手に独特の違和感が見られる病気です。脚がムズムズする不快感をはじめ誰かが手で触っているような感覚だったり、虫がさわさわと脚の肌のうえを這っているようだと表現する場合もあったりなど、人によって症状の表現はさまざまです。
こどもの場合、脚の不快感をうまく言葉で伝えられないため、親御さんにマッサージをしてくれるように頼んだり、寝入りばなになるとか
んしゃくを起こして泣き続けるといったような寝ぐずりとして現れる場合も少なくありません。また、違和感を解消しようと布団や床に脚をこすりつたり、脚をブラブラ動かす、歩き回るなど、運動症状からむずむず脚症候群かもしれないとわかる場合もあります。
なお、こどもによ
っては、お腹や首、腕などにむずむずした不快感を覚える場合もあるなど、病名よりも範囲の広い病気と言えるでしょう。
こどもで発症する場合は、4〜6歳程度の幼児期に多く見られます。また、ADHDの特性のひとつである多動性が強く出ているこどもは、むずむず脚症候群の可能性が高いと考えられています。
むずむず脚症候群のこどもはどんな言動をする?
こどもたちによって表現がさまざまなむずむず脚症候群の症
状。具体的には、次のような言い方や寝る前の行動でサインを現しています。
1.不快感の表現方法
・足がくすぐったい
・足がゆらゆらする
・虫が這っているようで気持ち悪い
・脚全体が熱くなる
・誰かに手で触られているようだ
・もわもわして落ち
着かない
・足の中に炭酸の泡が入ったようだ
2.寝る前の行動の特徴
・布団やベッドの柵に足をこすりつける
・足のマッサージをしてとせがんでくる
・忙しなく足を動かし続けている
・足をかき続ける
・足が痛いと泣く
・かんしゃくを起こす
むずむず脚症候群のリスクが高いADHDとは
発達障がいのうち、ADHDは次の3つの症状が見られます。
・不注意
集中力が続かない、忘れ物が多い、予定を忘れる、順番に物事を進められない、ケアレスミスが多い
・多動性
じっとしていれない、落ち着きがない、ずっとしゃべり続けている
・思いつきで行動する、気持ちをコントロールできない
、順番を待てない
7歳までに症状が現れるといわれていて、年齢に比べて不注意・多動性・衝動性のいずれか1つ以上の特性が見られる発達障がいの一種です。
ADHDは、先天的な脳機能の偏りによる特性といわれています。精神科的な捉え方では、脳内で神経伝達物質の役割をしているドーパミンやノルアドレナリンの受け渡しがうまくいっていないためではないかと指摘されています。
具体的な原因はまだ解明されていませんが、集中力、衝動性や感情のコントロールなどを司る前頭葉と、行動や運動を支配してい脳の中心部にある尾状核に何らかの特徴が現れているから、という研究結果もあります。
ADHDは二次障害をはじめ合併症状も多く見られる発達障がいです。
たとえば、自閉症スペクトラム障がい(ASD)や学習障害(LD)な
どの他のタイプの発達障がいを合わせて持っているこどもも多くいます。また、二次障害といわれる精神疾患や反社会的行動に発展するケースも少なくありません。
さらに、ADHDのこどもは、睡眠障害を合併する割合が高いといったデータも存在します。なかなか寝付けない入眠障害や夜中に目が冷める中途覚醒のほか、この記事で紹介しているむずむず脚症候群をはじめ、周期性四肢運動障害といった珍しい睡眠障害が見られるケースも珍しくないといわれています。
むずむず脚症候群の診断方法は?
こどもはむずむず脚症候群の症状を言葉で上手く表現できない場合が大半です。そのため、親御さんから寝る前の症状や様子を問診して、診断を付けます。
なお、診察では、問診とともに、他の病気が隠れていないか
を区別するため、血液検査や尿検査も実施します。貧血や鉄欠乏症、腎臓病や肝臓病のなかに、むずむず脚症候群の症状のようなケースが見られるためです。
また、医師によっては、こどもの睡眠状態を把握するため、睡眠ポリグラフ検査をおこなう場合もあります。睡眠中の脳の活動状態をはじめ心拍数や呼吸数、運動機能や眼球の活動の様子をチェックする検査です。
むずむず脚症候群の治療方法は?
むずむず脚症候群の治療方法は、まず生活習慣の改善です。規則正しい生活をする、睡眠の習慣を見直す、マッサージをせがんだら足をさすってあげる、など、家庭でのケアで改善を目指します。多くのこどもたちは、12歳前後でむずむず脚症候群の症状が消えていきます。なお、幼児期のこどもは、ADHDが隠れていないか発達障がいの可能性を視野に入れながら治療を進めます。
さらに、血液検査で貧血傾向に加えて血液中の鉄分が基準を満たしていないこどもには、鉄剤を処方します。鉄分不足が不眠をもたらしている場合もあるためです。このほか、症状が重いこどもには、ドーパミンなどに関わる精神系の内服薬を処方する場合もあるようです。
漢方薬でアプローチするケースでは、抑肝散などの不眠症に適用する処方で改善を図る場合もあります。
むずむず脚症候群に理解を示すことが大切
むずむず脚症候群の症状は、夜寝る前に起こるケースが多いと言われています。しかし、人によっては、日中も突然やってくる場合があって、日常生活に支障をきたすケースがあります。
授業中に脚の不快感が現れた場合、イスに座っていなければならない状況でかゆみや痛み、違和感を我慢するのは非常に困難です。こどもによっては貧乏ゆすりをしたり、脚を指でつねった痛みで耐えている場合もあります。昼間に現れるむずむず脚症候群の症状は、学校生活や勉強にも差し障りが出るほか、ADHDやASDなどの発達障がいと見られてしまう可能性もあるでしょう。
たとえば先生から「落ち着きがない」と叱られたり、クラスメイトからおかしな動きをするとからかわれたりして、それがストレスになって心に傷を刻んでしまう場合もあります。
むずむず脚症候群という病気があること、ADHDのこどもには現れやすいという知識を知っておくことで、周囲の理解を促すきっかけとなるのです。
まとめ:発達障がいのこどもにむずむず脚症候群が多いってホント!?ADHDと脚の違和感の関係とは
むずむず脚症候群という病名をどれくらいの人が耳にしたことがあるでしょうか。睡眠障害のなかでも、比較的珍しい病気のため、落ち着きがないこどもと思われて、嫌な思いをした経験のあるこどもたちは少なくないようです。
高齢者に多いむずむず脚症候群ですが、発症しているこどものなかにはADHDが隠れていることもあるので、注意して接することがポイントとなります。もしお子さんが夜寝る前に脚をマッサージしてほしがったり、布団に脚をこすりつたりしていたら、むずむず脚症候群かもしれません。一度病院で相談してみましょう。
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