発達障がいのこどものグレーゾーンとは?親はどのように対応すれば良いのか考える(1)
「年齢のわりにずっと小さい頃の遊びをしている」
「お友だちとうまくやっていないみたい」
成長とともに、お子さんの発達で不安を抱えている親御さんはいませんか。
家でも生活習慣がなかなか身につかなかったり、学校の先生から「授業中にじっとしていられない」「お友だちとよくトラブルを起こしている」と話があったりすると、心配になりますよね。
さまざまな事情で、年齢に合わせてこどもは成長するとは限りません。子育てに不安を抱えている親御さんのなかには、もしかするとお子さんがいわゆる「グレーゾーン」なのかもしれないからです。
そこで今回から2回に分けて、発達障がいのこどものグレーゾーンについて解説していきます。発達障がいとは何か、そのグレーゾーンってどういうものなのかを知って、親としてどういう対応をすればこどものためになるのかを学んでいきましょう。
発達障がいとは脳機能は偏りのこと
発達障がいとは、生まれつき脳機能の発達が偏っていることをいいます。最近は障がいではなく、脳の働きの特性によってさまざまな症状が現れると考えられています。以前は、親の躾や教育環境など、後天的な問題といわれていましたが、最近の研究では先天的に持って生まれた脳の働きの傾向が原因といわれています。
発達障がいは、幼児期でわかる場合もあれば、小学校に入学してから周囲のこどもたちとの違いが目立ってきて先生から診断を進められるケースもあるなど、タイプがいくつかあります。
発達障がいの傾向があるお子さんに対して、厳しくしつけをしたり、強制的に治そうとしたりする親御さんがいますが、かえって逆効果になって二次的な障がいが生まれる可能性が高くなるのがポイントです。
なお、発達障がいは人それぞれ個性があるように、特性の出方や強さ、生きづらさなどは千差万別です。お子さんの障害の特性を把握してこどもが日常生活を生きやすくサポートすることが、親にとって求められることです。はったう障害を特性と捉える考え方は、こどもに自信をもって生きる力を身につけていくために、非常に重要といわれています。
発達障がいの3つのタイプ
発達障がいには主に3つのタイプに分かれます。自閉症スペクトラム障がい(ASD)、ADHD(注意欠陥多動性障がい)、学習障がい(LD)です。
一つずつ具体的に特徴を見ておきましょう。
・自閉症スペクトラム障がい(ASD)
かつて自閉症やアスペルガー症候群と呼ばれた障がいを総称したものです。
ASDの特徴は、社会的なコミュニケーションや対人関係でつまづきやすいこと、同じ言動や興味関心を繰り返しし続けることが知られています。また、人によって感覚過敏や感覚鈍麻が現れる場合もあります。
自閉症スペクトラム障がいのあるこどもは、相手が親であっても視線が上手く合わない、言葉によるコミュニケーションが難しい、顔の表情が乏しいといった特性が強く現れるのがポイントです。また、自分だけのルールにこだわって、そこから外れるとパニックを起こしたり、物事の順番をこだわったり、オウム返しをしたりする傾向があります。
・ADHD(注意欠陥多動性障がい)
最近、大人の発達障がいでも話題になっているADHDは、不注意・多動性・衝動性の3つの要素が合わさっている発達障がいの一種です。
人によって、どの要素が強く出るかは異なります。
不注意とは、忘れ物が多い、約束を忘れやすい、ひとつのことに集中できないといった特性です。
また、多動性とは、じっとしていられない、授業中でも教室をうろうろしたり、急に外に出て行ってしまったり、ずっとしゃべりつづけるといった特性があります。
衝動性は、気に入らないことがあると急に手が出たり、物を投げたりします。また、突然どこかに行こうと出かける、順番が待てなくて割り込んだり、ふっと帰ってしまったりする特性のことです。
・学習障害(LD)
読み書きや計算する、推論するといった基礎的な学習能力に障がいがある発達障がいです。どれかの能力だけ発達が遅れたり、全体的に学習に必要な能力が育ちづらかったりなど、こどもによっていくつかのパターンがあります。
読み書きや計算する能力の場合、文字を読むのに問題が生じる場合をディスレクシア(読字障がい)、文字を書くのが困難な場合をディスグラフィア(書字障がい)、また、数的な能力に問題がある場合をディスカリキュア(算数障がい)と呼ぶ場合もあり、小学校以降の本格的な学習が始まってから発見されるケースが多い発達障がいのひとつです。
ちなみに、この3つの発達障がいは、ひとつだけ現れる場合もあれば、ふたつ、みっつと障がいが重なりある場合もあります。また、知的障がいやてんかん、吃音症をともなうこともあるなど、発達障がいは非常に幅広いものとして捉えられていることを押さえておきましょう。。
発達障がいのグレーゾーンとは?
発達障がいではなく、グレーゾーンと呼ぶ場合がありますが、具体的にはどういった状態なのでしょうか。
発達障がいは、医師の診察や検査によって医学的な基準にクリアした場合に初めて診断がつきます。しかし、発達障がいの傾向はあって、診断基準をいくつか満たすものの、確定診断にまでは達しないケースをグレーゾーンと呼ばれているのです。
発達障がいと診断された場合に比べて、診断がつかない分、親の教育やこどもの努力で克服できると考える人もいるようです。しかし、実際は発達障がいの確定診断を受けたのと同じレベルで対応が必要なケースが多いのが現実です。診断がついていないからといって、時間とともに成長するだろうと放任的になったり、学校だけに任せたりしてしまうと、適切な対応が受けられないまま日常の生活で生きづらさを背負い続けることになりかねないので注意が必要です。
まとめ:発達障がいのこどものグレーゾーンとは?親はどのように対応すれば良いのか考える(1)
発達障がいのには、自閉症スペクトラム障がい(ASD)、ADHD(注意欠陥多動性障がい)、学習障がい(LD)の3つに分類されます。ただし、診断基準に満たない場合でも、発達障がいの傾向が強く見られるこどもがいて、グレーゾーンと呼ばれているのです。
もしお子さんが発達障がいのグレーゾーンかもしれないと感じた場合、親としてどのような対応をすれば良いのでしょうか。次の記事で詳しく解説していきます。
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