発達障がいのこどもは治る?病気と障がいの違いと知っておきたい支援方法(2)
発達障がいと診断された場合、治るかどうか気になるところでしょう。ただ、発達障がいは「病気」ではなく生まれつきの脳機能の偏りという特性と考えられています。そのため、発達障がいそのものは病気ではありません。
しかし、発達障がいの特性によって日常生活でさまざまな困難さやストレスが積み重なると、うつ病や不登校といった病気や症状が現れることがあります。これが二次障害です。
では、発達障がいの特性や二次障害が治るような治療方法はあるのでしょうか。
そこで2回目のこの記事では、発達障がいのあるこどもが受けている治療方法やサポート方法について紹介します。
発達障がいは薬物療法と発達支援が2本柱
発達障がいは生まれつき脳機能に偏りが生じる障がいです。したがって、医学的に脳外科や神経内科のアプローチで根本的な治療をすることはできません。
ただし、発達障がいの特性が原因で生じる困難さや日常生活や社会生活のいきづらだを軽減することは可能です。
その具体的方法は、薬物療法と発達支援の2つが挙げられます。
では、以下でひとつずつ見ていきましょう。
1.薬物療法
発達障がい自体が治る薬はありませんが、発達障がいの特性より生じる症状を改善する治療薬は一部登場しています。
ADHD治療薬
とくにADHD(注意欠如・多動症)に対する治療薬は小児科などでよく処方されており、保険適応のある治療薬は次の4種類です。
- メチルフェニデート(コンサータ)
- アトモキセチン(ストラテラ)
- グアンファシン(インチュニブ)
- リスデキサンフェタミンメシル酸塩(ビバンセ)
このうち3番目の「グアンファシン(インチュニブ)」は、1日1回飲むだけで1日効果が続くことが特徴です。
以下、それぞれ簡単に紹介します。
メチルフェニデート(コンサータ)/リスデキサンフェタミンメシル酸塩(ビバンセ)
毎朝1回内服すると、約10時間効果が持続します。そのため、学校生活で困りごとが多いこどもによく処方されます。
効果はもちろん、食欲低下や不眠といった副作用がはっきる現れることが多い内服薬です。
アトモキセチン(ストラテラ)
朝夕2回内服すると、丸1日効果が持続します。学校生活と帰宅後の家庭でも困りごとが多いこどもに向いている薬剤です。効果を実感できるまでに1か月程度かかります。なお、カプセルや錠剤のほか、ADHD治療薬で唯一シロップがあります。
グアンファシン(インチュニブ)
1日1回内服すると効果が1日持続します。飲み始めに眠気の副作用が出ることが多いため、慣れるまで時間がかかります。
その他の治療薬
ADHD治療薬のほかに、発達障がいの特性による症状に合わせて次のような薬剤が使用されます。
・抗精神病薬
抗精神病薬は、ADHDの多動性や衝動性をはじめ、こだわり行動や自傷行為、反抗挑戦性障害、自閉症スペクトラム症(ASD)の攻撃席や興奮状態などに効果があります。
・抗うつ薬・抗不安薬
抑うつや不安障害、こだわり行動や、心身症、緊張状態、睡眠障害などに使用されます。
・抗てんかん薬
躁うつやイライラ感、気分変調などに処方されます。
このほか、抗ヒスタミン薬や循環器用薬など症状に応じてさまざまな薬剤が選択されています。
ただし、薬物療法はあくまで対処療法のため、こどもの環境を整理・改善して、過ごしやすい条件を整えることが大切です。そのため、医師は家庭や園・学校生活に支障をきたすような適応障がいがある場合や、興奮や攻撃性が強く自傷や他者への暴力につながる恐れが高いときにこどもに合わせた処方をしています。また、薬物療法を取り入れたい場合は、医師の診察の上、処方を受けなければいけません。
2.発達支援
発達障がいの特性で生じる困難さや生きづらさ、二次障害がある場合、専門の福祉窓口への相談や発達支援施設の利用を検討しましょう。
具体的には次のような専門機関や施設があります。
- 発達障害者支援センター
- 児童発達支援・放課後等デイサービス
- 保健センター
- 子育て支援センター
- 児童相談所
とくに2番目の「児童発達支援・放課後等デイサービス」は通所型の療育施設で発達障がいのこどもが多く利用し、日常生活に必要なスキルを身につけるサービスを提供しています。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
発達障害者支援センター
発達障がいのあるこどもや大人、その家族や関係者を支援する行政機関です。発達障がいについて本人や家族の相談に乗ったり、医療機関や福祉サービス、教育機関や保健所などと連携して発達障がい者のサポートをしています。
児童発達支援・放課後等デイサービス
児童発達支援は6歳未満の未就学児のため、放課後等デイサービスは小学生から高校生までのこどもが放課後や長期休暇に通うための施設です。どちらも発達障がいのあるこどもの発達支援を提供しています。
生活スキルやコミュニケーションなど自立支援を行ったり、遊びや学習指導をしたり、運動や体操、お稽古ごとのような教室を開いたり、施設によって特徴が異なります。
保健センター
公衆衛生や検診事業のほか、子育て支援や乳幼児健診など地域住民の保健衛生を担当する行政機関です。
子育て支援センター
乳幼児のこどもとその家族がコミュニケーションを図り、遊びや運動などを実施しています。また、看護師や栄養士、助産師など専門職による育児相談や情報提供なども受けられます。
児童相談所
18歳未満のこどもの問題を相談する専門機関です。家族をはじめ学校や地域住民などの相談も受け付けています。
子育て相談や福祉相談、虐待への対応などが中心です。
発達障がいの特性による困難さや生きづらさ、二次障害をサポートするためには、上記で紹介した専門機関をうまく利用してこどもの成長に合わせた支援を続けることが大切です。
まとめ:発達障がいのこどもは治る?病気と障がいの違いと知っておきたい支援方法(2)
発達障がいは「病気」ではないため、根本治療のような治る方法はありませんが、対処療法で生きづらさを軽減して日常生活を過ごしやすくすることは可能です。
最近は、発達障がいの種類や困りごとに合わせて薬物療法が行われるケースが増えていますが、自立に必要な訓練や生活環境の改善が第一といわれています。
たとえば、吹田の放課後等デイサービス「こどもプラス大阪」では、社会性を身につけるソーシャルスキルトレーニング(SST)や、独自の運動プログラム「柳沢運動プログラム」など、心身の健全な成長をサポートするアプローチを提供しています。
特性による困難さや日常生活の困りごとが増えると、こどもの感情やストレスの負担が大きくなって、うつや引きこもりなど二次障害に発展する可能性も高くなるため、早いうちから適切な支援が重要です。
普段からこどものコミュニケーションスキルや日常生活で必要なスキルが身につきづらいと心配な親御さんは、ぜひ一度吹田の放デイ「こどもプラス大阪」までご相談ください。
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