発達障がいのこどもが増えている!10年で10倍増の理由とは?
「発達障がい」という言葉をよく耳にするようになりました。テレビや雑誌などのマスメディアはもちろんのこと、小学校や中学校で発達障がいのお子さんの話を聞いたり、お子さんの子育てのなかで「発達障がいかもしれない」と心配になったりしたことが一度はあるかもしれません。
実際に発達障がいのあるこどもたちは増えています。また、発達障がいの疑いがあるこどもたちの割合も増加傾向にあるというデータもあります。
では、なぜ最近、発達障がいのこどもたちが増えているのでしょうか。そこで今回の記事では、発達障がいのこどもが増えている現状について、その理由や原因、今後の見通しなどをまとめてご説明します。
発達障がいは10年で10倍に増えている
高齢化社会が加速する日本では、毎年こどもの出生数も減少。こどもの数そのものは減っていて、少子高齢化が社会問題になっています。一方で、こどもの人数は減少しているものの、発達障がいと呼ばれるこどもたちは増えているのを知っていますか。
文部科学省のデータによると、発達障がいの児童数は2006年に約7,000人でしたが、10年後の2019年には7万人を超えています。発達障がいの診断がおりて、発達外来や心療内科などの医療機関で向精神薬の処方を受けるこどもも増加傾向にあります。
近年、「大人の発達障がい」についても知られるようになりました。職場で空気が読めない、コミュニケーションがうまく取れないなど、これまで成人のなかで日常生活や人間関係がうまくいかない人たちについて、しつけや教育、性格などが原因とされてきました。しかし、最近では、発達障がいが潜んでいる可能性が指摘されるようになっています。その結果多くの人が発達障がいの診断や治療を受けるようになりました。
小学校や中学校など義務教育の現場でも発達障がいのあるこどもは身近な存在になっています。2002年、文部科学省は初めて発達障がいに関する調査を実施しました。その結果、全国の児童のうち6.3%、実に学級に2人の割合で発達障がいの可能性のあるこどもが在籍している事実が明らかになりました。このニュースをきっかけに発達障がいという障がいが世間に知られるようになりました。
通級指導を受けるこどもたちの増加
また、2016年には、全国の公立小中学校で「通級指導」を受ける発達障がいのあるこどもが初めて9万人を超えていることがわかり、発達障がいを抱えるこどもの教育をどうしていくか、学校の現場でも大きな課題となっています。
発達障がいは「障がい」ではなく、一人ひとりのこどもの特性と考えられています。生まれつき脳の働きに偏りあるこどもにとって、日常生活や学習面で苦手なことが多く、心身の成長に支障をきたすケースが少なくありません。
さまざまな発達支援のアプローチがおこなわれているなかで、これまで特別支援学校や特別支援学級に通学するのが一般的だった障がいの程度の軽い児童や生徒を、通常学級に在籍させて、必要に応じて補充指導を別室で受けるしくみが通級指導です。定型発達のこどもたちのなかで時間を過ごすことで、コミュニケーションを磨いたり、こども同士がいい刺激を与え合って成長できたりなど、さまざまなプラスの効果があります。
1993年度の通級指導の児童・生徒数に比べると、2016年時点で7.4倍にも増加。今後も増え続けると予想されています。
発達障がいのこどもが増えている理由
「見かけ上の増加」とは?
発達障がいと診断されたり、通級指導のこどもが増えているのはいったいなぜでしょうか。実は、発達障がいのメカニズムは現在もはっきりとしていません。生まれつき何らかの原因で脳の働きに偏りがあることは確かですが、環境問題や医療問題、育児問題など、専門家のなかでも意見が分かれています。
ただ、これだけ発達障がいの認知度が上がっているのは、学校や医療の現場で理解が広がっていること、親御さんの間で発達障がいの情報が浸透していること、が大きな理由として考えられます。
まず、医学的に発達障がいの概念が広がっていて、心療内科や小児神経科など専門医が増えていることが大きな理由でしょう。病院での相談がしやすくなり、発達障がいの診断がおりるケースが増加しています。
「変わっている」「落ち着きがない」「神経質だ」。これまで一部のこどもを学校や家庭でもその子の個性として捉えていたものが、発達障がいという医学的な診断でわかりやすく定義できるようになったのです。
また、学校や保健所などでこどもの発達相談がきめ細かくおこなわれるようになった点も大きいと言えるでしょう。発達障がいの可能性があるかもしれないこどもを受診するようにすすめる現場も増えています。
発達障がいのあるこどもの数そのものが増えたというよりも、医学の発展や教育現場の捉え方が進んだため、発達障がいと診断されるこどもが増えた、というのが実際のところだと考えられます。
実際の増加はどのくらい?
それでは、発達障がいのこどもたちは実際にどのくらい増えているのでしょうか。
発達障がいをもって生まれるこどもたちは、遺伝と環境の両方が関係しているといわれています。
一定の割合で遺伝的に発達障がいの特性をもつこどもが生まれてくると、育った環境によって症状が強く出たり、弱く出たり、出なかったりするのです。
そのため、後天的に家庭での育児やこどもを取り巻く環境によって発達障がいと診断されない場合もあれば、遺伝的な要素が強く、早い段階で発達障がいの疑いを見せるこどももいると考えられています。
環境的な問題で発達障がいの症状が強くなる理由としては、食事や睡眠不足、化学物質や医薬品、スマホやテレビなどのメディアツール、発達障がいの特性を知らないままこどもと接することで生まれるストレスなどが挙げられます。しかし、どれも明確な根拠かどうかは明らかになっていません。
ただし、晩婚化や医学の進歩で早産や生殖医療を受けて生まれるこどもが増えていますが、その場合発達障がいの割合が若干高めになっているというデータはあります。
発達障がいはこどもの特性であることを理解しよう
データ上は発達障がいのこどもが増えているのは確かです。ただし、見かけ上の数が増えているのか、実際に発達障がいをもって生まれるこどもが増えているのか、はっきりしたことはわかっていません。
しかし、発達障がいは生まれつき脳機能に偏りがあるという定義があるように、ひとつの特性であり個性であるという捉え方はとても大切です。障がいの有る無しに関わらず、さまざまなユニークな個性を持ってこどもたちは生まれて来ます。マイノリティであるだけに、定型発達のこどもたちとは異なるフォローを通じて生きやすいソーシャルスキルやコミュニケーション能力をみにつけさせることが必要です。
まとめ:発達障がいのこどもが増えている!10年で10倍増の理由とは?
10年で10倍に増えている発達障がいのこどもたち。その理由は、学校や社会で発達障がいに対する理解が広がって、現場での対応が進んできたことが大きいと考えられます。
実際に発達障がいのこどもが増えているというデータはありません。しかし、学校で把握している児童数や医学的な診断数が増えるほど適切な発達支援が受けられるため、発達障がいのこどもの生きづらさを少しでも改善できるチャンスが増えているのは確かです。
発達障がいはこどもの特性のひとつです。定型発達のこどもたちより日常生活で苦手なことが多いため、発達支援を通してソーシャルスキルやコミュニケーションスキルをみにつける必要があります。そのためには放課後等デイサービスのような発達支援のサービスを利用すると良いでしょう。吹田の放デイ・こどもプラス大阪では、SSTと呼ばれるソーシャルスキルトレーニングや柳沢運動プログラムを通じて発達障がいのあるこどもたちの発達をサポートしています。
発達障がいの症状がきっかけで自信をなくしたり、生活スキルが身につきづらかったりするこどもたちに、経験豊富なスタッフが放課後や休日の時間を一緒に過ごしながら、発達支援をつづけています。増えている発達障がいのこどもの情報を知って、日頃から子育てで気になることが多い親御さんがいたら、ぜひ一度こどもプラス大阪までご相談ください。
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