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2022-01-28

発達障がいで謝れないこどもがいるのはなぜ?「ごめんなさい」が言えなくて困ったら①

家庭や学校で、ときどき何かにつけて謝れない子がいます。

明らかにその子が悪いことをしたのに、決して非を認めようとしない光景を、子育ての場面で誰しも経験するものです。

謝れない子をそのままにしておくと、家族の間はもちろんのこと、学校やお友達と遊ぶとき、対人関係で大きなトラブルを起こすリスクが大きくなります。

そのため、親も「どうして謝らないの!?」「なんで『ごめんなさい』が言えないの!」と叱りがちです。

そこで2回に分けて、とくに発達障がいを持つこどもの中になぜ謝れない子がいるのか、について考えてみましょう。

こどもにはこどもなりの理由があることがわかれば、もっと保護者としての接し方が変わってくるはずです。

素直に謝れないこどもたち

発達障がいを抱えるお子さんの子育ての悩みで、「うちの子は謝れない」というのはよくあるテーマです。

どんなことでも謝れないこどもをみていると、「将来、人間関係で相手に嫌な思いをさせたとき、きちんと謝れないとトラブルになるかも」とハラハラしてしまいます。

謝れないこどもは、たとえ自分のミスで間違った言動をしてしまったり、友だちと遊んでいて喧嘩をして相手にケガをさせてしまったり、明らかにその子が悪い場面でも「ごめんなさい」と謝ることにものすごく抵抗を示します。

お友だちのように誰か他人に迷惑を掛けてしまった場合は、親の立場からすると無理矢理にでも頭を下げさせて、謝らせたいときもあります。

しかし、いくら謝罪を強要したところで、お子さん自身が謝れない心のままでは、やがて嘘をついて責任を逃れようとしたり、かんしゃくを起こしてさらなるトラブルを引き起こしかねません。

「ありがとう」を言えない心理と共通していること

謝れない子は、親やお友だちに親切にしてもらっても「ありがとう」を言えないことが少なくありません。

悪いことをしたのに謝れないことと、共通しているものを感じます。

相手の気持ちがわからない、あまのじゃくでへそ曲がり、といった特徴は、発達障がいのうち、アスペルガー症候群や自閉症スペクトラムによく見られる傾向です。

言葉の発達に問題は見られなくても、コミュニケーションのスキルが低く、対人関係や社会性の面で問題を抱えているこどもが少なくありません。

そこには、大人が悪いことと決めている行動を誰かにしたとき、相手が嫌な思いをしたり、迷惑だと感じているという感覚が乏しいようです。

「ごめんなさい」の一言には複雑な心のプロセスがある

「ごめんなさい」も「ありがとう」も、その素直にその言葉が出てくるまでにはいくつかのプロセスがあります。

たとえば、お友だちに「ごめんなさい」と謝る場合、こどもの心の中では、

①自分が相手にした行動は『悪いこと』と理解している

②自分が『悪いこと』をした認識している

③自分の言動は、お友だちに嫌な思いをさせたという相手の感覚を理解している

④相手の気持ちを不快にさせてしまって、悪かった、償いたい、といった感情が生まれる

⑤④で感じた思いをそのまま素直に言葉で伝えたり、頭を下げて態度で示すことができる

というような段階を経ているのです。

つまり、一見「悪いことをしたら謝る」という社会のルールは、発達障がいのあるお子さんにはとても複雑で理解が難しいともいえます。

発達障がいの特性が謝れないこどもを生み出している

さらに、ASDと呼ばれる自閉症スペクトラムの傾向を持っていると、相手の気持ちをうまく理解できないという特性が上乗せされるため、いっそう謝れないというわけです。

こうした理由のほかにも、目の前で起きた状況をうまく理解できていない、発達障がいの種類によって視野が狭いため、細かなシチュエーションが見えづらい、といったケースもあります。

しつけが必要だからと無理矢理謝らせると……。

相手の気持ちがわからない、こだわりが強い、といった発達障がいの特性が強くなると、大人たちは「自分勝手でわがまま」「怒りっぽい」「社会性がない」というふうに見てしまいがちです。

また、謝れないこどものままでは、お友だちと遊ぼうとしてもみんなトラブルになるのを嫌がって、その子を避けるようになってしまうでしょう。

「自分は悪くない」「なぜ謝らないといけないのかわからない」というこどもにとって、なぜ自分からみんなが逃げていくのかわからないまま、孤立してしまうことになります。

親の立場からすると、無理矢理にでも謝るようにしつけをして、できるだけ人間関係を良好に保つようにさせたいという思いになってしまうのも、無理もないでしょう。

公園などでこどもたちが遊んでいる様子を見ていて、謝れない自分のこどもに対して「ちゃんと謝りなさい!」とキツく叱ってしまう親御さんも多いのではないでしょうか。

しかし、しつけだからといって、頭ごなしに謝るように責めても、うまくいかない場合がほとんどです。

むしろ、かえってかんしゃくを起こしたり、テコでも謝らないといった気持ちにさせてしまいます。

発達障がいの中でもASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)の要素を持つお子さんには、しつけをしなければならないという心配ではなく、なぜ謝れないのかといったこどもの特性を理解して対応する必要があるからです。

まとめ:発達障がいで謝れないこどもがいるのはなぜ?「ごめんなさい」が言えなくて困ったら①

謝れないこどもの中には、自閉症スペクトラム症やアスペルガー症候群といった発達障がいから生まれる特性が背景にあるケースが目立ちます。

相手の気持ちが理解しづらかったり、悪いことが何かよくわからない、といった場合が多いからです。

また、しつけだからといって無理矢理謝らせと、こども本人の気持ちをさらにこじらせてしまいかねません。

それでは、発達障がいのあるお子さんが素直に謝れるようになるには、どのように対応すればいいのでしょうか。

次回、2回目の記事で一緒に見ていきましょう。

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