発達障がいのこどもはパニックを起こしやすい!?パニックの原因や対処法を考えよう①
発達障がいを抱えるこどものなかには、ことあるごとにパニックを起こしてしまう子が少なくありません。
とくに、自閉症スペクトラム障害のあるこどもや、その傾向があるこどもを持つ親御さんの中には、
「日常的にお子さんがパニックを起こしてどう対処していいか困ってしまう」
といった相談をよく耳にします。
こどものパニックはわがままや自分勝手などのこどもならではの特徴とは少しちがいます。
重度のパニック障害に当たる場合もあるのがポイントです。
つまり、家庭のしつけや学校の教育・指導で改善できるタイプのものとは異なるのです。
この記事では、発達障がいのこどもによく見られるパニックの特徴や原因、周囲の対応方法や予防のポイントなどをまとめてご紹介します。
発達障がいのこどものパニックはどんな症状?
発達障がいのあるこどものうち、パニックを起こしやすいのは自閉症スペクトラム障害のこどもたちです。
かんしゃくと呼ばれることもあります。
一般的に、こどもが起こすパニックの特徴には、次のようなものがあります。
・不安感や恐怖感に襲われる
・激しい動悸や発汗、めまい、吐きけが続く
・死が近づくような感覚に襲われる
・体を震わせて大声で泣き続ける
・かんしゃくを起こして床にひっくり返って泣きわめく
・物を投げる
・自分の頭や体をものにぶつける
・周りの人を殴る、叩く、蹴る
パニックやかんしゃくの特徴は、それまで静かで落ち着いていたこどもが突然、大声でなきわめいたり、物に当たったりすることです。
ちなみに、夜間のパニックは「夜驚症(やきょうしょう)」と診断される場合もあります。
パニックはなぜ起こるのか?
パニックやかんしゃくは、もともと乳児期に空腹や眠気、おむつが濡れた不快感、体の痛みなど、こども自身が不快なストレスを表現するためにおこなうものです。
しかし、成長するにつれて、単なる生理的欲求や痛み、不快感のほか、自分の思うようにならない環境に対して不満を伝える手段だったり、自分の我を通して欲求を満足させたいといったコミュニケーション手段の一つになります。
楽しくおもちゃで遊んでいるこどもから母親から、
「遊びの時間は終わったから、おしまいにしましょう」
といっておもちゃを取り上げたとき、素直に従うこどもはきっと少ないでしょう。
多くのこどもは、
「このままずっと遊んでいたいのに、どうして取り上げるの!?」
と怒りの感情を母親に向けて、わめいたり、泣いたりするはずです。
おもちゃを取り上げられた状況をなくしたい、自分の欲求のままに遊んでいたい。
そうした感情をきっかけに、かんしゃくやパニックを引き起こしてしまうのです。
ここで知っておきたいポイントは、こどものパニックの裏側には、自分の不都合な状況を改善して、欲求を通したいという、こどもなりの心理が働いているということです。
単に泣いたり、怒ったりしているから厄介だ、という構図で捉えないことがとても大切だといえます。
また、欲求不満がきっかけでパニックを起こしているこどもは、本人自身がそのパニック状態に自分がどうすればいいかなすすべを失っているケースも少なくありません。
もし、おもちゃを取り上げられて泣き叫んだ子どもに、すぐおもちゃを手渡しても、泣き止まない場合もあるのです。
こども自身が自分の感情に振り回されていて、落としどころを見つけられないまま、パニックがパニックを呼んでいるといえます。
このように、こどものパニックやかんしゃくは幼児期から児童期を中心に、起こりやすい発達過程の現象です。
ただし、思春期や大人になっても、パニックやかんしゃくを起こしやすいまま過ごしている人もいます。
パニックの直接的な原因は、一人ひとりの発達障がいの特徴を含めた発達段階で異なります。
また、きっかけとなった問題が親子関係なのか、先生や友だち関係のコミュニケーションでの出来事なのかによっても、パニックやかんしゃくの背景にあるものはさまざまです。
とはいえ、こども自身には、まず、やりたいという欲求をさえぎる何か不都合な現実があって目の前から取り除こうとする思いが潜んでいます。
あわせて、自分の感情に振り回されていて、どう気持ちを収めればいいのかわからない、というポイントも隠されているのです。
まとめ:発達障がいのこどもはパニックを起こしやすい!?パニックの原因や対処法を考えよう①
発達障がいのこどもはとくにパニックを起こしやすい傾向があります。そのため、パニックの原因を知っておくことで、冷静な対処につなげる姿勢が取れるでしょう。
次回の記事では、こどものパニックについて、発達障がいとの関係を見たうえで、どのような対処法を取ればいいのかについてご紹介します。
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