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2022-11-08

発達障がいのこどもが動画をやめられないときは?親子で取り組むルールづくりのポイント

発達障がいのあるこどもたちは、動画やゲームなど、興味や関心のあることをひたすらし続けるといった特性を持っていることが多く見られます。

「自分の好きなことはずっと熱中して、いつまでもやめない」

「動画やゲームばかりして、生活リズムが乱れてしまう」

こうしたこどもと動画の付き合い方について悩んでいる親御さんは少なくありません。

そこで今回の記事では、発達障がいのあるこどもと動画との付き合い方について、親の立場やこどもの目線になりながら一緒に考えていきましょう。

YouTube依存は社会問題のひとつ

こどもから大人まで、YouTube動画の視聴時間が一日数時間以上ある、暇さえあればずっと動画を見続けてしまう、といった人が増えています。YouTubeや動画が普及するまでは、ゲーム依存やスマホ依存が問題となっていましたが、最近はYouTubeや有料動画配信サービスといった動画依存を心配する声を耳にしたことがあるでしょう。

とくにコロナ禍で、お家で過ごす時間が長く、外出して屋外での遊びが極端に減ったこどもたちの間で、YouTube依存が深刻な問題となっています。

・YouTube動画を見始めると、いつまでも辞められない
・とくに見たい動画がなくても、YouTubeを開いてしまう
・気づくとスマホやテレビの動画アプリを使ってしまう
・動画やスマホ、ゲームを辞めるように注意すると怒り出す

このような症状が見られるお子さんはいないでしょうか。

無意識に動画やスマホをさわっていたり、動画の視聴のしかたについて注意するとイライラしたりするお子さんは、動画やスマホ、ゲームへの依存度が高いと考えられます。

こどもたちが動画に依存してしまう理由

なぜ動画やスマホ、ゲームに依存してしまうこどもが増えているのでしょうか。

脳内ホルモン・ドーパミンと依存症との関係

もともと、動画やスマホ、ゲームは脳内のドーパミンと呼ばれるホルモン分泌を促す大きな刺激のひとつです。頭の働きに支障をきたすというメカニズムにおいて、アルコール中毒やギャンブル依存症と同じ原理で依存症になっていきます。

ネットの動画やゲーム、スマホといった刺激を受けると、脳内でドーパミンが放出されます。すると、脳は快感や快楽を覚えて目の前の嫌なことを避けるようになります。やがて時間とともにドーパミンの効果が薄れると、ストレスになって新たな刺激を求めるように。そして、再び動画やゲーム、スマホを無意識に見てしまうのです。

具体的には前頭前野の機能低下によって、感情や衝動などを支配する働きが弱くなり、依存症が進行していきます。

人間にとってドーパミンは行動を起こそうとモチベーションを高める大切なホルモンのひとつです。本来は、ドーパミンの働きで、ポジティブな行動を取ることが自然といえます。そのため、心身のストレスが大きいほどドーパミンの分泌量を増やして、何とか行動をするように働きかけます。

一方で、YouTubeなどの動画依存やゲーム、スマホ依存の人の脳は、ネットの動画やスマホといった外部の刺激によってドーパミンを分泌しているため、大きなストレスがやってきたとき、自分の内側からドーパミンを分泌して目の前に問題を片付けていこうというメカニズムが働きづらくなります。そのため、ドーパミンの分泌が不十分となって、ずっと疲れたような感覚が続いたり、やる気が出なくて憂うつなまま毎日を過ごしてしまったり、するのです。

動画依存やスマホ依存の脳をのぞいてみると……

動画やスマホ依存の脳の状態を調べると、とくに3つの領域で大きな影響が出ています。

ひとつは、先程紹介した前頭前野です。理性を司る部位で、合理的な判断にかかわる前頭前野は、YouTubeやスマホ依存によって働きが衰えて、衝動や感情のコントロールがしづらくなります。

ふたつめは、大脳辺縁系です。生理的欲求や不安、恐怖といった本能や感情に関わる働きが低下します。

三つめは、大脳基底核です。からだの動きを司ることに加えて、「報酬系」と呼ばれるゲームやスマホの依存を生み出す反応に大きな影響を与えます。動画やゲーム依存が続くと、「報酬系」の反応が欠乏して、手元にスマホやネットがないまましばらく経つとイライラ感を引き起こしてしまうのです。

発達障がいのあるこどもは動画依存になりやすい?

「YouTube動画が辞められない」

「注意するとイライラして怒りだしてしまう」

動画やスマホとの付き合い方について、発達障がいをお持ちのお子さんや、ADHDなどのグレーゾーンのお子さんをもつ親御さんからの相談はよく見られます。

「動画やゲームを始めると、スマホをずっと使い続けてしまいます。注意してもイライラして怒ったり、泣いてぐずったりして困っています。親としてどのように接すればいいのでしょうか」

まず押さえておきたいことは、発達障がいのあるこどもは好きになったものを繰り返して飽きずにやりつづける、という特性があります。たとえば、同じ電車の動画をひたすら見続ける、エアコンの室外機の羽が回る光景をずっと見ている、など、過集中しやすいケースが多い点です。

好きになったものをしばらくやり続ける、親と一緒に同じおもちゃで遊ぶことをねだる、といった傾向はどんなこどもにも多かれ少なかれあるものです。

しかし、自閉症スペクトラム障がい(ASD)やADHD(注意欠陥多動性障がい)をもつこどもの場合は、発達障がいの特性として、何ヶ月、半年や1年単位で何度でも楽しみ続けたい特徴を持っています。

親からすれば、毎日同じことで遊び続けていてどうして飽きないのだろうか、と首をかしげるのも無理はありません。たまには新しいものに触れて欲しいと、電車ではなく飛行機や車など他の題材の動画を見せても、結局、同じものでなければ納得せず、かんしゃくを起こして収集がつかないため、また同じものを見せる、といった繰り返しになります。

繰り返し同じものを見たがる理由を考えよう

同じものをずっと見たがる、同じ遊びを飽きずにしたがる、といった特徴は、その背後に発達障がいの可能性が潜んでいる場合があるのです。

保育園・幼稚園から小学生、そしてもっと成長しても、発達障がいのあるこどもは、小さな頃に好きだった動画を毎日一回は見て楽しみ場合が少なくありません。

しかし、こどもからすると、繰り返し同じ動画を見ることで、毎回新しい発見があったり、理解が深まったりするほか、慣れ親しんだ安心できる世界に親しめるといったことも大切なポイントです。

一、二度見ると飽きてしまって新しい動画やゲームを探し求める多くの人たちと異なり、同じ動画で安定した楽しさを感じてリラックスできる大切な時間をこどもたちは手に入れたいと感じています。

とくに、自閉症スペクトラム障がい(ASD)の傾向が強いこどもは、同じ行動や興味関心を繰り返しし続けたくなる特徴が知られています。一度見始めるとやめられない、気持ちの切り替えが苦手、といった発達障がいを抱えるこどもたちが動画に依存しやすいのもナチュラルなことといえるでしょう。

さらに、発達障がいの特性として、不得意なことが多いため自信が育ちづらく、動画やゲームの世界に遊びたくなることや、動画やゲームで学校や家庭でのストレスを解消して心のバランスを取っている、優先順位をつけてやるべきことをやるのが苦手、過集中で同じパターンの行動を繰り返したくなる、といったポイントも、動画やゲーム、スマホ依存になりやすいと考えられます。

なお、発達障がいのあるこどもが動画やゲーム、スマホに依存しやすいという傾向そのものは、親のしつけや指導によって根本的に直せるものでもありません。「しつけが悪かったかもしれない」と悩む親御さんは少なくありませんが、生まれつき脳の働きに偏りがあって依存しやすくなっていることは知っておきましょう。

動画・ゲーム・スマホ依存とどう付き合えばいいの?

発達障がいのあるこどもだからといって、動画やゲーム、スマホ依存のままにしておくと、成長や発育にとってマイナスです。それでは、親としてどのように接すればいいのでしょうか。

1.動画やゲーム、スマホをこどもの「友だち」と考えよう

動画やゲーム、スマホはこどもたちのおもちゃのひとつと考えて、基本的にポジティブなアイテムと考えましょう。

発達障がいのあるこどもたちは、日頃からできないこととできることの落差が大きく、周囲から孤立しやすくかったり、自信がつきづらかったりします。そのため、現実逃避の手段として動画やゲーム、スマホに没頭して、ストレスをコントロールしているともいえるのです。

動画やゲームをやり続けることはこどものメンタルや成長にとってよくないこと、という意識を変えてみましょう。

そのためには、動画を日常生活で子どもとのコミュニケーションツールに利用するといった方法もあります。

たとえば、ある放課後等デイサービス(放デイ)では、新し勉強やゲーム、体操や遊びを始める前に、こどもたちに関連する動画を見てもらっておおよそのイメージを持ってもらう取り組みをしています。スタッフが写真やイラストを使って話して伝えるだけでは理解しづらかった場合でも、動画を活用してこれからやることを先取りしておくと物事に挑戦する際の不安感が軽減される、手順がわかって最後まで取り組める、といったメリットがありました。

とくに言葉の発達に遅れがあるお子さんの場合は、視覚的なアプローチを増やせるので、積極的に取り組むきっかけにもつながります。

家庭でも、新しい場所への外出や、これから始める生活習慣(着替えやトイレトレーニングなど)の訓練などでYouTubeなどの動画を見せて反応を確かめてみてください。

2.その日の何時で動画やゲームをやめるのかだけ時間を決める

時間通りにルールを守ったり、時間配分をしたりすることは、発達障がいのあるこどもにとって不得手な場合が大半です。

家庭で動画やゲーム、スマホのルールづくりをする場合、1日2時間でやめる、といった決め方をすることが多いようです。

しかし、時間の感覚が育ちづらいこどもたちにとって、1日のうちどれだけ動画やゲームに費やしたのかを把握して自己管理することはかなり難しいことです。

タイムカードを付けるわけにもいきませんし、親御さんがずっとこどもの動画時間やスマホの遊び時間をチェックすることも現実的とはいえません。

そこで、動画やスマホをやめる時間を決めるだけで、どのくらい遊ぶかは本人に任せるといった方法を取っている家庭があります。

発達障がいの特性で、ずっと動画やスマホを見続けたいこどもには、無理に時間管理を求めるより、終了時間だけを設定して、その時間には必ずやめるというシンプルなルールのほうが親子にとってわかりやすくなります。

ただし、終わる時間は親が一方的に決めるのではなく、こどものアイデアに基づいて親子で決めることが大切です。一度決めたことを守ることの大切さを親子で確認しながらしつけをするために、こどもと親が一緒になってルールづくりをしましょう。

3.動画やスマホをやめたタイミングでしっかり褒めよう

お子さんと一緒に動画やスマホで遊ぶルールを作ったら、時間通りに終わったときはしっかり褒めてあげましょう。ルールだから守って当たり前、ちょっとでも遅れたら注意する、という姿勢では、こどももストレスに感じてしまいます。

だいたいの時間でこどもたち自身で動画やスマホを終えられたときは、「時間を守ってえらいね」「自分でスマホとバイバイできたね」など、言葉を添えながら笑顔で褒めましょう。自信がつきづらい発達障がいのあるこどもには、おおよそルールを守ることができたレベルで褒められる体験が続くと、親が褒めてくれたことに喜びを感じたり、自分でルールを守れたことへの自信がついたり、多方面に良い影響が生まれるからです。

まとめ:発達障がいのこどもが動画をやめられないときは?親子で取り組むルールづくりのポイント

動画やゲーム、スマホ依存になりやすいといわれる発達障がいのあるこどもたちには、親子で一緒に遊ぶ時間を決めて毎日守る習慣を身につけていくことが大切です。

おおよそ守れたなら、しっかり褒めてあげましょう。そうすると、こどもは動画やスマホで遊ぶ安心感をキープしながら、生活習慣の自信づくりにもつながります。

こどもと動画の付き合い方の悩みは、地域で発達支援をしている放課後等デイサービスでもよく聞かれるテーマです。吹田にあるこどもプラス大阪のような放デイでは、普段からこどもたちに遊びとの付き合い方や生活ルールの守り方の指導をおこなっています。動画依存やスマホ依存が心配な親御さんは、ぜひお気軽に相談してみてください。

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