発達障がいのこどもは甘やかしすぎ!?障がいの特性や状況によって代わる対応方法
「発達障がいのこどもを持つ親は、甘やかしすぎている」
そんな話を耳にすることがあります。
一方で、子育てをするときは、こどもをしっかり甘えさせることが大切、という言われることも増えてきました。
こどもの成長にとって、甘えさせることは欠かせません。だからといって、ただただ甘やかしてしまうのとは話がちがうはずです。
そこで今回の記事では、発達障がいのあるこどもの甘えさせ方について考えていきましょう。定型発達のこどもたちを育てる場合と異なる視点から、なぜ「甘やかしすぎ」といわれるのか、ポイントを解説していきます。また、親としてどのように接すればいいのか、にも確認しましょう。
なぜ発達障がいのこどもは甘やかしすぎに見えるのか
発達障がいのあるこどもの子育てで大切なことは、障がいの特性を理解した上で対応することです。
発達障がいは、自閉症スペクトラム障がい(ASD)やADHD(注意欠陥多動性障がい)、学習障がい(LD)が知られています。このうち、ASDやADHDのこどもたちは、日常生活や社会生活で困りごとを抱えやすく、生きづらさを感じながら過ごしているため、障がいの特性や一人ひとりの個性に合わせた育て方が必要です。
定型発達のこどもたちの場合、子育てではほめるシーンもある一方で、叱らなければならないシーンも多く出てきます。一度叱れば一度ほめる、といったバランスで子育てを考えている親御さんが多いのではないでしょうか。
一方で、発達障がいのあるこどもたちは、生まれつき脳の機能に偏りがあるため、コミュニケーションが苦手だったり、強いこだわりがあったり、物事に集中できない、注意力が乏しい、じっとしていられない、など、一人ひとりさまざまな特性を持っています。
こうした障がいの特性は、我慢させたり、強く指導したからといって矯正できるものではありません。それよりも、それぞれの特性をしっかりと把握しながら、本人の発達に合わせた支援が求められます。
そのため、発達障がいのこどもの子育てでは、できるだけほめてあげることが大切といわれています。定型発達のこどもに対するような叱り方をしても、こどもたちは正しく叱られた意味を理解できないため、理由のないストレスを抱えてしまうだけだからです。
このように、発達障がいのあるこどもたちを育てる場合、ほめかたや叱り方のバランスに大きな違いがあるため、周囲の大人たちからすると「発達障がいのあるこどもは甘やかしすぎ」と感じてしまうのでしょう。
甘やかすことは発達障がいのこどもにもNG
発達障がいのあるこどもについても、単に甘やかせばいいというわけではありません。こどもに接するとき、甘えさせることは大切ですが、甘やかしてしまうことはNGだからです。
「甘やかす」とは具体的にどういったことなのでしょうか。例えば、家で親の家事をしている間、こどもの相手ができないからとテレビやお菓子で時間を埋め合わせたり、こどもが失敗しないように親が先回りしてしまったり、といったケースが考えられます。
また、こどもが言うままにおもちゃやお菓子を買って与える、というのも甘やかしといえるでしょう。
こどもを甘やかすことは、発達障がいの有る無しにかかわらず、こどもの成長に悪影響を与えてしまいます。
こどもをしっかり叱らなければいけないとき
それでは、発達障がいのあるこどもをしっかり叱る場面について考えていきましょう。
人に迷惑をかけるとき、自分にダメージを与えるとき、社会のルールやマナーが守れないとき、などはどの代表例です。
・人に迷惑をかけるとき
公園でお友だちと遊んでいて、相手のおもちゃで遊びたいからと、奪うようにいきなり取る行為や、喧嘩をして相手に手を出してしまうことは、なぜいけないことかを説明しながら叱る必要があります。
発達障がいのあるこどもの場合、言葉によるコミュニケーションが難しいケースがあるため、簡単な言葉を使ったり、なぜ相手に迷惑がかかるのか、行動と影響をわかりやすく説明することがポイントです。
・自分にダメージを与えるとき
イライラするからと自分の体をつねったり、髪の毛をかきむしったり、壁に頭を叩きつけたり、障がいの特性によって本人のフラストレーションを自傷的な行動で出してしまうこどもがいます。
こども自身の生命や健康にかかわるような行動に対しても、理由を丁寧に説明しながら叱ることが重要です。
・社会のルールやマナーが守れないとき
並んでいる行列に割り込んだり、赤信号で渡ろうとしたり、ソーシャルスキルやコミュニケーションスキル、社会のルールを身につけるのに時間がかかることが多いため、折に触れて日常生活のルールや決まり事を教える工夫が大切です。
してはいけないことをイラストや写真のカードで提示したり、ソーシャルスキルトレーニングが受けられる放デイなどの発達支援サービスを利用したりしながら、こどもの社会性を育てていきましょう。
こどもの甘えにどこまで対応すればいいか
発達障がいのあるこどもは、ASDのほかにADHDやLDを併せ持っていたり、身体的な病気を抱えていたりすることが多く見られます。例えば、学校への登校も起立性調節障がいを持っている場合は、起床して身じたくを整えるだけでも大きな仕事です。
発達障がいのあるこどもで、調子が良い日は集団登校で、悪い日は車で送迎するといった対応をしている親御さんは少なくないでしょう。
しかし、「いくら障がいがあるかたといって甘やかしすぎだ」とか「自力で通ってこそ学校に行く意味がある」といって、こうした親御さんの対応に否定的な考えがあるのも確かです。
もちろん、発達障がいのあるこどもにどう対応すればいいかは、ケースバイケースのため、一概にこれといった正解があるわけではありません。同じこどもでも、その日の体調やメンタル状態によって対応は変わってくるでしょう。
ただ、発達障がいのあるこどもの子育てでは、こども本人が「学校まで送って欲しい」などとアピールしている場合は、状況に応じて対応することがおすすめです。
こどもを観察していると、単に怠けたいだけなのか、障がいの特性や病気の症状のために手助けを求めているのか、わかってくるはずです。また、そのこどもや環境によっても判断は分かれてきます。家から遠く離れていて体力的にハードだったり、市街地を通るため感覚過敏のこどもにはラッシュ時の登校は刺激が強すぎる、といった個別の事情も考えなければならないからです。
甘やかさない親子関係を築くためには
甘やかすのではなく、甘えさせることはこどもを育てる上で、重要な考え方です。ほめるところを見つければ、精いっぱいほめて自信をつけさせてあげましょう。
一方で、叱らなければならないシーンでは、その場でタイミングを逃さず、「どの行動がいけないのか、なぜ叱られているのか」を具体的にわかりやすく説明していきます。
そのときに大切となるのは、日頃の親子関係です。普段の接し方で愛情を注いでいるか、悩みごとに真っ正面から向き合っているかによって、親子の信頼関係は大きく変わります。日常生活で親密にコミュニケーションが取れていれば、もし叱られた場合でも、こどもたちは素直に受け止めてくれるはずです。
家庭や学校以外の支援方法も活用してみる
発達障がいのあるこどもはとくに、子育てやこどもの教育をすべて家庭と学校でカバーするのは限界があります。
基本的な生活習慣を身につけたり、コミュニケーション能力を高めたり、社会性を身につけるためには、放課後等デイサービス(放デイ)のような発達支援の利用も考えておきましょう。
まとめ:発達障がいのこどもは甘やかしすぎ!?障がいの特性や状況によって代わる対応方法
吹田にある放デイの「こどもプラス大阪」では、こどもたちの障がいの特性や個性、発達段階に合わせたきめ細かいサポートをおこなっています。とくに、コミュニケーションや社会のルールを身につける「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」や、体を動かすことを通じて脳の発達を促す「柳沢運動プログラム」に取り組んでいることが特色です。
家庭や学校で甘やかしすぎかもしれないと感じたり、今後のこどもたちの将来を考えてもっと積極的に社会との関わりを持てる力を養ってほしい、といったときは、ぜひお気軽に「こどもプラス大阪」までご連絡ください。
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