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2022-04-22

発達障がいのこどもは空気が読めないのはなぜ?コミュニケーションで大切な空気の読み方の対処法

相手の気持ちを感じ取る、その場の雰囲気を察知する、など日常生活で人と接するとき「空気を読む」ことはとても大事です。

しかし、人によってうまく空気が読めない場合があります。相手の気持ちを想像するのが苦手、その場でみんなが話している空気がわからなくて自分の思うようにコミュニケーションを取ろうとする、といったようなイメージです。

コミュニケーションにおいて、「空気を読む」ことは大人になっても難しいときがあります。こどもであればなおさら空気が読めないことが多く、お友だちや先生など周囲の人たちとのコミュニケーションがうまくいかなくなるきっかけになるのです。

そこで今回は、「空気を読む」をテーマにご案内します。とくに発達障がいのこどもで、空気が読めない特性を持ったこどもは珍しくありません。「空気を読む」「空気が読めない」とはどういったことなのでしょうか。また、どうやって空気が読めない発達障がいのこどもに教えればいいのでしょうか。

「空気を読む」とは何か

日本人は、コミュニケーションで「空気を読む」ことをとても大切にする傾向があります。学校や職場の人間関係はもちろんのこと、インターネットのSNSという相手の顔がわからないスペースでも、空気が読めない人はうまく人間関係を築いたり、維持していったりすることができません。

一方で、必要以上に空気を読むことが当たり前になっているため、建前と本音を使い分けることが難しい、人間関係のストレスが多くて生きづらい、といったネガティブな問題もあります。

私たちが空気を読んで言葉や行動を選ぶとき、ただカンを働かせているわけではありません。知らず知らず、日本の文化や風習など「常識」とその場の状況を照らし合わせて、「非常識」にならないように言動しているのが実態です。

「世間はこういうものだ」「社会はこうした常識やルールで成り立っている」といった固定概念や常識的な感覚が強い人ほど、空気を読むことが得意といえます。

たとえば、日本の男性で仕事に行くときに半ズボンを履く人はめったにいないでしょう。もし職場でスーツ着用が義務づけられていなくて、オフィスカジュアルでも「大人の男性は半ズボンは履かない」という「常識」を読み取って行動しているからです。

また、女性がメイクをして外出するというのも、日本の常識のひとつです。ちょっとした近所の買い物や散歩程度なら、メイクをしなくても構わないかもしれません。ですが、短時間の外出でも「女性は外に出るときはメイクをするのが当たり前」という日本社会の風潮や雰囲気があるため、さっとメイクをして出かける女性の方が多いのではないでしょうか。

このように、常識や社会生活のルールやマナーは、国や時代によっても異なります。日本では「ステレオタイプ」と呼ばれる社会全体が無意識で共有している固定概念やイメージ、常識」が根強いこと、日本語や日本の風習からその場にふさわしい言葉や行動を敏感に読み取って態度や発言をしなければならないこと、などから、人とのコミュニケーションで空気が読めないことは、致命的に人間関係に暗い影を落としてしまうのです。

発達障がいのこどもでコミュニケーションが苦手な場合、人との関わり方がわからないまま育っていきます。

・自分だけ一方通行で話し続ける
・相手の受け答えや話には興味を示さない
・自分で作った本人しかわからない言葉をしゃべる
・言葉を額面通り受け取ってしまう
・相手の表情や態度、言葉づかいから気持ちを読み取るのが苦手

こういった特徴を抱えながら成長するケースが多いのが、発達障がいのこどもたちです。

「空気を読む」ことは、相手の表情や言葉づかい、その場の雰囲気を読み取ることに加えて、キャッチした情報に合わせて自分がふさわしい行動や言葉を選んで表現すること、また相手が嫌がることはやらないこと、などを全体的に判断することを指します。

ある日のAくんのケース

7歳のAくんは、夕食後いつもお母さんとおもちゃで遊ぶのが大好きです。自動車のおもちゃを持ってきては、リビングで遊んでいます。

しかし、ときどき自分の思うようにならないとき、かんしゃくを起こしておもちゃを壁に投げつけてしまうときがあるのです。そんなときお母さんは「物を投げちゃだめでしょ!もう片付けなさい!」と叱っています。

素直なAくんは、その度に「ごめんなさい」とすぐ謝っています。ただ、お母さんが「わかった、いいわ。今度から気をつけてね」と声がけをすると、すぐに「ありがとう!じゃ、もっと遊んでいい?」と聞いてきます。

親に叱られたとき「お母さんの気持ちは落ち着いているのかな?」「ほんとはもっと遊びたいけど、お母さんの機嫌が悪そうだから、今日はやめておこう」などと相手の気持ちや雰囲気を読み取るのが一般的です。こどもも成長につれて、だんだん親の表情から今すぐ遊んでいいか、それとも日を改めた方がいいのか、敏感に感じ取ります。

しかし、発達障がいのこどものなかには、相手から許される言葉を受け取った瞬間に、お母さんを怒らせてしまったことはリセットされて、すぐに遊ぼうとしてしまうのです。

ばつが悪い表情を浮かべたり、少し時間を置いて様子を見てから遊ぶ、という感覚がなかなか育ちません。理屈でいえば、悪いことをした→お母さんに叱られた→謝って許してもらった→だからさっきやったことはもう終わっている、というこどもの感覚は正しいといえます。しかし、学校でお友だちとの関係が複雑になったり、大人とのコミュニケーションが活発になる小学生にもなると、Aくんの発達障がいの特性を知らない相手は「どうして空気が読めないんだ!」と怒らせてしまうはずです。

空気を読むことそのものは、人が生まれてからその社会のステレオタイプに合わせて身につけていく能力です。しかし、普段私たちはあまりに当たり前のように、無意識に空気を読みながら生活しているため、こどもの頃の経験や失敗を繰り返しながらコミュニケーションスキルを身につけている事実を忘れてしまいます。そして、空気が読めない相手に対して、本人の性格や育ち、考え方を含めて人格を疑うような気持ちになってしまうことも少なくありません。

発達障がいを抱えるAくんも、そのまま日常生活を送っていって自然に空気を読む力が身につくかというと、難しいといえるでしょう。発達障がいのなかでも自閉症スペクトラム症(ASD)のこどもには、対人関係を調整することが苦手な特性があるからです。

自閉症スペクトラム症のこどもが苦手なコミュニケーション能力

発達障がいには、自閉症スペクトラム症、ADHD(注意欠陥・多動性障がい)、学習障がい(LD)の3種類が代表的なタイプです。そのうち、対人関係でつまづきやすい特性を持っているタイプに自閉症スペクトラム症(ASD)があります。

自閉症スペクトラム症(ASD)は、早いケースで1歳半の乳幼児健診でその疑いが浮上する発達障がいのひとつです。自閉症スペクトラム症のこどもたちの特徴は、対人関係が苦手なこと、強いこだわりがあること、の2つ。どちらも社会生活に支障が出るレベルで現れるケースが少なくないため、生きづらさにつながる問題です。

対人関係が苦手なだけ、強いこだわりがあるだけでは日常生活にあまり問題があるとイメージできないかもしれません。しかし、日常的にさまざまなシーンで発達障がいの特性が現れるため、人とのコミュニケーションがうまく取れない、学校や職場の常識がわからない、ルールが守れないなどの問題が深刻になると、医療や福祉のサポートを得ながら生活をしていく必要があります。

近年、発達障がいの調査研究が進んだ結果、自閉症スペクトラム症はこどものおよそ20人から50人に1人の割合で診断されるという報告もあるほど、けして珍しい障がいではありません。また、男女比では男性は女性の約2倍から4倍の診断率といわれています。

自閉症スペクトラム症を含む発達障がいの原因は、まだすべて解明されてはいません。しかし、自閉症スペクトラム症も生まれつきの脳機能の偏りによって現れるものだという考え方が主流です。

かつて発達障がいのあるこどもを持つ親御さんは「育て方やしつけが悪かったのだろうか」と悩んだり、周りから家庭の教育について心ない言葉をかけられて傷ついたり、といった話が少なくありませんでした。

自閉症スペクトラム症の可能性があるこどもには次のような特徴があります。

・視線が合わない
・表情が固くて不自然、乏しい
・名前を呼んでも反応しない
・人見知りしない
・ひとり言が目立つ
・親が呼びかけたり、注意を促したりしても、反応が鈍い
・抱っこが嫌い、人に触られるのを嫌がる
・遊び方はひとり遊びが多い
・偏食傾向が強い
・言葉で伝えるより、行動で伝えようとする

こうした特徴を抱えるこどもを育てる悩みを抱える親御さんは少なくありません。ただし、近年、発達障がいは、親のしつけや教育環境ではなく、持って生まれた脳機能の偏り、こども個人の特性と考えるようになっています。病気ではなく個人ごとの性質のため、薬で根本的な治療はできない一方で、日常生活をうまく送る方法を学ぶ療育がおこなわれています。

自閉症スペクトラム症の特徴のうち、空気が読めないのは対人関係の調整が困難の特性に含まれます。まず、自閉症スペクトラム症のこどもは、人に対する関心を示さない場合が大半です。また、親や家族はもちろんのこと、お友だちなどともコミュニケーションに本人なりのこだわりやスタイルがあるため、他人とうまく関わりづらい傾向があります。

さらに、相手の気持ちを察知することが苦手である、対人関係のやりとりで白黒をはっきりつけたがったり、あいまいなままにしておきたくなかったり、柔軟な対応に難しさが見られます。言葉をそのまま受け取る、すべてを理屈で当てはめる傾向があります。ただ、その場に合わせた言動を選ぶ能力がないわけではありません。また、成長につれて対人関係のスキルが身についたり、苦手なことが移り変わったりしていきます。

空気が読めないために起こること

自閉症スペクトラム症(ASD)の特性で対人関係の調整が難しいまま日常生活を送っていると、日本人にとくに求められるその場の空気を読む力が乏しいままコミュニケーションを取ることになります。そのため、相手の表情や話しぶり、視線などを察知して、次々と変化する相手の気持ちや感情を読み取ることがまず困難です。会話をしていても相手からひとりよがりと思われるような一方的な話ばかりを続けたり、反対に受け身で反応をしないまま会話が続いたりします。そのため、会話のキャッチボールができず、学校や職場で孤立しやすくなるのです。

また、あいさつや簡単な情報交換程度のやりとりなら相手の気持ちを害したり、傷つけたりする可能性は低いものの、話が込み入ってくると空気が読めない特性が影響して、相手を怒らせていたり、知らない間に相手のひんしゅくを買っていたりする場合も少なくありません。

さらに、自分の興味のあることへのこだわりの強さが発揮されると、自分の話したいことばかり一方通行で会話するため、煙たがられることも。空気が読めないため、一歩踏み込んだ友人関係を築けない、額面通りの言葉や理屈で判断して会話をしてしまって、友だちと喧嘩になりやすい、といった傾向も見られます。

自閉症スペクトラム症の二次障がいと空気が読めないこども

空気が読めないなど対人関係を調整することが困難な自閉症スペクトラム症のこどもたち。その特性そのものは病気ではありませんが、人間関係を築くのが苦手でこだわりが強いまま日常生活を送るため、さまざまなストレスやトラウマを抱えやすくなります。本人はまったく悪気はないのに相手を怒らせていたり、お友だちができなかったり、集団生活にも影を落とすようになると、親や先生から常に叱られる、学校で仲間はずれにされる、などの問題が出てきます。

さまざまな問題を抱えたまま生きづらい環境に囲まれているため、自信を失う、頭痛や腹痛、食欲不振などの身体症状や不安やうつなど精神症状が現れることも珍しくありません。また、不登校やひきこもり、暴言や暴力など社会的に問題のある行動を取りやすくなります。

こうした自閉症スペクトラム症など発達障がいが原因で、二知的な問題が次々と起こることを二次障がいと呼びます。親や大人、お友だちなど周囲の人たちが特性を理解すること、本人に合わせた環境を整えていって生きやすい環境づくりをしていくことが不可欠です。

空気の読み方を教えるコツ

人間関係で重要な鍵を握る空気を読む力。経験から知らない間に学ぶものですが、発達障がいのこどもさんにはある程度、空気が読めないままでも対処できるコツを教えるのも一つの方法です。

その場の雰囲気や相手の表情や話しぶりをどれだけ発達障がいのこどもに説明しても、理解してもらうことは難しいでしょう。そこで、相手の態度やサインを覚えて、ケースバイケースで対処法のパターンを教えていく方法が有効です。

さきほどのAくんのケースでは、相手から叱られたり、怒ったりしていたとき、もしその場ですぐ許してくれても、すぐに話しかるのはやめるように教えます。そして、発達障がいの特性があると、「すぐに」がダメならどのくらい待てばいいのかが具体的にわからないため、「1分経ってから」などと対処のポイントを覚えさせると効果があった親御さんもいます。

こうしたパターンをいくつか身につけてきたら、相手の態度や表情からどういった気持ちや感情になっているのかイメージするトレーニングをしたり、具体的にどのような対応をすればいいのかを伝えたりしていきましょう。

まとめ:発達障がいのこどもは空気が読めないのはなぜ?コミュニケーションで大切な空気の読み方の対処法

発達障がいのなかでも自閉症スペクトラム症(ASD)のこどもたちは、空気が読めない場合が大半です。空気が読めないと対人関係でつまづいてお友だちから孤立したり、親密な関係が築けなかったり、相手の気持ちを害してトラブルに発展してしまったりするリスクが高まります。

空気を読むことが強く求められる日本では、こどものうちからその場の雰囲気で言葉や行動を選ぶ場面が多いため、コミュニケーションのスキルとして支援していく必要があるでしょう。

たとえば、療育の発達支援の現場では、こどもたちにコミュニケーションスキルを含めたソーシャルスキルトレーニング(SST)を実践しているケースが多くあります。放課後等デイサービス(放デイ)でも、具体的にコミュニケーションスキルを指導しながら、社会生活で支障が出ないレベルまで持っていく療育に力を入れている施設も少なくありません。

吹田のこどもプラス大阪でも、ソーシャルスキルトレーニングを通して、空気が読めない発達障がいのこどもたちがコミュニケーション能力を養ってよりよい人間関係を築くサポートを続けています。

もし、自閉症スペクトラム症などを抱えるこどもさんをお持ちで空気が読めないと悩んでいたら、放課後等デイサービスのソーシャルスキルトレーニングを考えてみるのをおすすめします。

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