発達障がいのこどものコミュニケーションの特徴は?大人が知っておきたい対処法
発達障がいのあるこどもは、コミュニケーションが苦手で社会生活に困難を生じるケースが多く見られます。
生まれつき脳機能の発達に偏りがあるため、言葉をはじめ、表情や空気を読み取ったり、集団のルールを理解したりするのが原因です。
代表的な発達障がいは、自閉症スペクトラム症(ASD)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障がい)の3つがありますが、とくに自閉症スペクトラム症(ASD)のあるこどもはコミュニケーションスキルや社会性が身につきづらく、対人関係や社会生活でさまざまな課題が発生します。
では、発達障がいのあるこどもはコミュニケーションでどのような特徴があるのでしょうか。また、生きづらさを改善するために、どのようなサポート方法を取ればいいのでしょうか。
そこでこの記事記事では、発達障がいのあるこどものコミュニケーションの特徴や対処法について解説します。
ASDとLDをもつこどもはコミュニケーションでつまづきやすい
発達障がいの種類は主に次の3つがあります。
- 自閉症スペクトラム症(ASD)
- ADHD(注意欠如・多動症)
- LD(学習障がい)
簡単にそれぞれの特性を確認しておきましょう。
自閉症スペクトラム症(ASD)
対人関係を築いたり、維持したりするのが困難で、他人とコミュニケーションを図りながら人間関係を育むのが苦手です。また、社会性が身につきづらい傾向があります。
ADHD(注意欠如・多動症)
忘れ物が多い、物事に集中できない、衝動的に行動してしまうなど、学校生活の授業や活動で支障をきたすタイプです。
LD(学習障がい)
読み書きや計算といった基礎的な学習能力に困難さが生じるタイプです。
この3種類の発達障がいのうち、コミュニケーションで生きづらさを感じやすいこどもは自閉症スペクトラム障害(ASD)とLD(学習障がい)の2つです。
発達障がいのこどもに現れるコミュニケーションの困りごと
コミュニケーションには言葉を使う方法と言葉以外の方法とがあります。言葉によるコミュニケーションは会話や文章などを使う方法ですが、人は表情やアイコンタクト、ボディランゲージ、握手やハグなど言葉以外のコミュニケーションも大切です。
自閉症スペクトラム症(ASD)を中心に、発達障がいのあるこどもはどちらのコミュニケーションスキルも苦手なケースが多く見られます。
言葉を使うコミュニケーションの特徴
発達障がいのあるこどもに対する理解で難しいポイントは、一見会話が成立しているように見えることにあります。よく確認してみると、実は言葉をきちんと理解できていなかったり、文章の意味を中途半端でしかわかっていなかったりして、後から認識の違いによるトラブルが発生しやすいことが多く見受けられます。
主に、次の4つの特徴が組み合わさって言葉を使うコミュニケーションに問題が生じます。
- 会話による言葉の理解力が低い
- 自分の伝えたい情報を言葉にする力が不十分
- 一方的な会話をする
とくに2番目の「自分の伝えたい情報を言葉にする力が不十分」という点は、正確な情報が伝えられず対応を誤る可能性があるため注意が必要です。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
会話による言葉の理解力が低い
会話や言葉のニュアンスを理解したり、比喩や皮肉、冗談などが通じにくいことが多くあります。
まず、会話の表現を文字通り受け取りがちです。「目から鱗が落ちる」と聞いて、「鱗なんて落ちていないのに、なぜ?」と思ったり、「着ぶくれしてダルマさんみたいだね」という比喩が伝わらなかったり、など含みのある表現の理解が苦手です。
また、遠回しの表現も伝わりづらい場合があります。「これ、ちゃんとできてないよね?」と聞かれても「相手は、中途半端だから最後までやり遂げてね」という真意がわからず、「うん、まだ途中までだから、ちゃんとできてないよ」と答えてしまうこどももいます。
さらに、相手の立場や世の中の話など、一対一より一対多のコミュニケーションになった場合も、理解しづらくなります。例えば、「水遊びばかりしてたら、水がもったいないでしょう」と叱っても、水を大切にしないといけないという概念がわからないため、なぜもったいないのかがわかりません。
自分の伝えたい情報を言葉にする力が不十分
言葉の理解や文法などが不正確なので、情報のやりとりで食い違いが起きやすくなります。
たとえば、「宿題を忘れた」と言った場合、こども本人のことではなく友だちのことだった、など、主語が誰かがあいまいで、親や先生が誤って認識することもしばしばです。
一方的な会話をする
自閉症スペクトラム症(ASD)のこどもは、自分の興味のあることはとことん熱中するため、自分が好きな話題は相手の反応を気にせずしゃべり続ける場合があります。また、同じ話題を繰り返して相手に何度も理解を求めて、不快感を与えることも少なくありません。
また、しゃべる機械のようにただ言葉を淡々と話し続けるため、立て板に水のような口調で間合いがとれない、といった傾向が強まります。
言葉以外のコミュニケーション方法の特徴
言葉を使わないコミュニケーションとは、視線や表情、身振りや手ぶりといった非言語コミュニケーションのことです。また、その場の空気やグループだけの暗黙のルールなど、周囲の雰囲気を感覚でつかんで理解することも含みます。
とくに自閉症スペクトラム症(ASD)のうちアスペルガー症候群の特性を持つ人は、「空気が読めない」といわれやすくなります。
そのため、相手が嫌がって断り切れない表情をしていても、言葉で拒否されていないため距離感を縮めようとしたり、その場の空気に反する発言をして雰囲気を壊したりしがちです。
コミュニケーションの困難さへの対処法【家庭編】
コミュニケーションでさまざまな困難さを抱えている発達障がいのこどもたちに、どのように接すればいいのでしょうか。
まず、家庭において日常生活を通してコミュニケーションの取り方を伝えていくことが大切です。親御さんがぜひ取り組むべき対処法は、次の3つあります。
- できるだけ具体的な言葉を使って伝える
- 会話の途中にその場で教える
- 家族だけでなく色々な人と触れ合う機会を作る
とくに2番目の「会話の途中にその場で教える」という点は、指導や支援するタイミングを逃さず、こどもにコミュニケーションスキルを身につける際に大切なポイントです。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
できるだけ具体的な言葉を使って伝える
発達障がいのあるこどもは、話し手の気持ちや感情を察するのが苦手なので、わかりやすく具体的な言葉でコミュニケーションを取る必要があります。
たとえば、「もう宿題やったの?」ではなく「宿題終わってないなら、3時までに終わらせてね」とか「この問題の答え、ほんとにこれで合ってる?」ではなく「この答えは間違ってるから、もう一度解いてみよう」といったように、事実と合わせてやって欲しいことを続けて表現するようにしましょう。
このほか、よくある例としては、「そんなことするとみんなが迷惑するよ」より「スーパーで大声を出したら他のお客さんがうるさいからやめよう」、「ママと同じようにやってみて」より「乾いた洗濯物をぜんぶカゴに入れて、リビングまで持ってきて」など、こどもが迷う余地のない言葉遣いを心掛けることが大切です。
会話の途中にその場で教える
コミュニケーションの基本である会話の途中で、こどもとの意思疎通のズレやマナー違反があったらすかさずその場で指摘をして、正しいスキルを教えてます。
例えば、こどもが外出先で「あのおばさん、すごい年寄りだね」と言ったときは「人に『年寄り』のような年齢について言うのは嫌な気持ちがするから、やめよう」というように、その都度修正して本人に繰り返し理解を促す姿勢を持ってください。
家族だけでなく色々な人と触れ合う機会を作る
コミュニケーションの相手が家族中心という場合、できるだけ外出してこどもから大人まで、さまざまな世代の人たちと接するチャンスを作りましょう。
とくに同年代のこどもとは、公園や児童館、学童保育などで積極的に利用するおとをおすすめします。
ただし、発達障がいのあるこどもはコミュニケーションの困難さのため、お友だちとうまく遊べなかったり、トラブルを起こしたりしやすいため、遊び場所を選ばなければいけないことも多くあります。
発達障がいのこどもの療育を目的とした児童発達支援や放課後等デイサービス(放デイ)など、通所型の発達支援事業所の利用も検討することをおすすめします。
コミュニケーションの困難さへの対処法【通所施設編】
発達障がいのこどもが通って発達支援を受けるサービスの中で、児童発達支援や放課後等デイサービスの利用を考えたことがある親御さんは少なくないのではないでしょうか。
障害児が施設に通って福祉サービスを受ける障害児通所支援のうち、障がいのある6歳未満の未就学児は児童発達支援、6歳から18歳までの就学児は放課後等デイサービスを利用できます。
どちらの施設も、定期的に通所施設を利用して、日常生活に必要な動作や作業の訓練や、コミュニケーションスキルや社会性を身につけるトレーニングを行いながら、まとまった時間を過ごす施設です。
とくに放課後等デイサービス(放デイ)は、利用対象のこどもの年齢幅が小学生から高校生までと広く「障害児の学童保育」と呼ばれることもあります。さまざまな障がいをもっている場合や、発達に特性のあるこどもが放課後や長期休暇に通ってサポートを受けられるサービスです。
放デイでは、発達障がいの知識やスキルを持ったスタッフが、発達支援を提供しています。運動療育や社会性を身につけるトレーニングなどを行っている放課後等デイサービスなら、楽しい時間を過ごしながらこども一人ひとりの発達段階に応じたサポートが受けられる点がメリットです。
まとめ:発達障がいのこどものコミュニケーションの特徴は?大人が知っておきたい対処法
発達障がいのこどもはコミュニケーションに困難さを抱えるケースが多く、対人関係やお友だちとの付き合いでトラブルになる可能性が高くなります。
そのため、こどもが適切なコミュニケーションスキルを身につけられるように、日常生活でサポートすることが大切です。
とくに、自閉症スペクトラム症(ASD)のあるこどもはコミュニケーションでつまづきやすいため、家庭での対処法を取り入れながら、児童発達支援や放課後等デイサービスを利用するといいでしょう。
例えば、吹田の放課後等デイサービス「こどもプラス大阪」では、社会生活で必要な訓練をおこなうソーシャルスキルトレーニング(SST)や、独自の運動療育プログラム『柳沢運動プログラム』に基づく療育を提供しています。
社会性やコミュニケーションスキルを遊びや学習指導を通してバランスよく提供しており、放課後や長期休暇の時間を安心して過ごせる場所になっています。
発達障がいのあるこどものコミュニケーションで気になる方は、ぜひ一度「こどもプラス大阪」までご相談ください。
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