2023-05-12

発達障がいのこどもの口の悪さとソーシャルスキルトレーニング　その1

発達障がいを持つこどもたちの中には、口が悪いためコミュニケーションで課題を抱えているという話を耳にすることがあります。発達障がいのこどもの口の悪さとソーシャルスキルトレーニング　その1

その原因は、単に口の悪さという問題だけでなく、対人関係や社会的なスキルにおいて困難を抱えていることを示している場合もあるため、微妙な問題です。

この記事では、「口が悪い」と言われることがある発達障がいのこどもたちが社会で上手くコミュニケーションが取れる方法について、2回に分けて紹介します。

「口が悪い」言葉を発する理由を考える

まず、発達障がいのこどもたちが口が悪い言葉を発する理由を理解することが重要です。

発達障がい児は、コミュニケーションや感情のコントロールに困難さを抱えています。そのため、自分の気持ちや思いをうまく表現できないことがあるのです。

口が悪くなるのは、本人がフラストレーションやイライラを感じたときの発散方法のひとつと考えられます。

対人関係のマナーを身につけるためには、以下のようなアプローチが有効です。

発達障がいのこどもたちは、言葉や表現を適切に使う方法を学ぶ必要があります。発達障がいの特性で、コミュニケーションスキルが身につきづらい傾向があるからです。

コミュニケーションスキルの訓練を通じて、相手を尊重し、感情を適切に伝える方法を学ぶことできます。TPOに応じて適切かつ具体的な言葉やフレーズを教えるだけでなく、相手の視点や感情を理解するトレーニングも行うことが大切です。

ソーシャルストーリーとは、発達障がい児の社会性を身につけるための支援ツールのひとつです。あるシーンの行動や状況について理解を深める目的で使われています。

発達障がいのこどもたちは、ソーシャルストーリーを通して、口の悪さが相手にどのような影響を与えるのかを学びます。文字をはじめ絵や写真などを使って、ソーシャルストーリーの文章に触れながら、自分の行動を客観的に見る能力を身につけます。

発達障がいのこどもたちは感情のコントロールが難しい場合があります。ストレスを感じたり、感情が高ぶったりすると、口が悪くなる傾向が見られます。

そのため、こどもたちが感情を適切にコントロールし、ストレスを軽減するためのサポートが必要です。

感情を制御するためには、リラクゼーションやストレス軽減のテクニックを教えることが効果的です。深呼吸や瞑想、ストレッチなどのリラクゼーション方法の指導を通して、自分の感情をコントロールする手段を持つように促します。

また、日常生活を通してこどもの抱えているストレスの原因を観察し、どのようにコントロールすれば良いか一緒に考えることも重要です。

発達障がい児には、日常生活や社会生活の中でコミュニケーションや対人関係を上手に築くための社会的スキルのトレーニングも必要です。発達障がいの分野では「ソーシャルスキルトレーニング（SST）」と呼ばれています。

ソーシャルスキルトレーニングで行われるロールプレイやシミュレーションを通じて、発達障がいのこどもたちが適切な対応やコミュニケーション方法を学ぶ機会を作りましょう。そして、他のこどもたちとの交流やグループ活動を通じて、お互いに尊重することや、協力することの重要性を体験する機会を作ることも大切です。

ソーシャルスキルトレーニングでは、こどもたちの発達障がいに応じたサポートを提供することも必要です。個々のニーズや能力を理解し、適切な支援を行うことで、発達段階に合わせた訓練を提供できます。ソーシャルスキルトレーニングに精通した専門家のいる施設を利用することもおすすめです。

発達障がいのこどもたちが口が悪い場合があるのは、対人関係や社会的スキルに困難を抱えていることを示すサインです。

ただ、適切な教育とサポートを受けると、円滑なコミュニケーションに必要な対人マナーを身につけることができます。コミュニケーション教育、ソーシャルストーリーの活用、感情の制御とストレス軽減のサポート、そしてソーシャルスキルトレーニング（SST）などを通じて、こどもたちの成長と発達をサポートしましょう。

そこで次回の記事では、発達障がいのこどもたちが日常的に受けているソーシャルスキルトレーニングの詳細について紹介します。