発達障がいのこどもは運動が苦手な理由
「他の子に比べて極端に運動ができなくて悩んでいる」
「運動神経が悪くて、大人になって問題が起きないか心配」
発達障がいのあるこどもの中には、遊びやスポーツなどで手足を同時に使う運動や、器用さが求められる細かい作業が苦手なことがあります。
ただ、年齢が上がっても動作がぎこちなかったり、きちんとした姿勢をキープできないなど、日常生活の運動に困りごとを抱えているケースが少なくありません。
そこでこの記事では、発達障がいを持つこどもと運動について以下のポイントを解説します。
- 発達障がいのこどもと運動
- 発達性協調運動障がい(DCD)のチェックポイント
- 運動療育の特徴とメリット
特に、発達障がいの一種である発達性協調運動障がい(DCD)との関係についても触れていますので、ぜひ最後までご一読ください。
発達障がいのこどもは運動が苦手?
発達障がいを持つこどもは、体操やボール遊びなどがうまくできなかったり、姿勢を維持することが苦手だったりする傾向がよく見られます。
また、発達障がいのこどもは体が固いといわれることも少なくありません。そのため、運動や遊びをしているとケガをしやすいことも多く、「運動神経が悪い」「運動音痴」と呼ばれて心が傷つくこどもも多く見られます。
発達性協調運動障がい(DCD)とは
最近、発達障がいのこどもで運動が苦手な状態を「発達性協調運動障がい(DCD)と呼ぶことがあります。
自閉症スペクトラムや注意欠如・多動性障がい(ADHD)、学習障がい(LD)といった発達障がいに比べるとまだまだ知名度は低いため、親や教育現場でも知られていないことが多いタイプです。
発達性協調運動障がいは、発達に応じて成長するはずの協調運動に困難さが見られる発達障がいを指します。
そもそも協調運動とは、体のさまざまな部位を一度の運動で組み合わせて行う運動のことです。
例えば、キャッチボールをイメージしてみましょう。人は、飛んでくるボールを目で追いながら、同時に手足を使ってボールをキャッチする一連の動作を瞬時にこなしています。手や足をどの位置に出してボールを受ければいいのか、さまざまな動作を一度にまとめて行わなければなりません。
こうした協調運動は日常生活のあらゆるシーンで必要です。発達性協調運動障がいのこどもは、年齢や知能など発達段階に応じて獲得していくはずの運動がうまくできないため、遊びやスポーツはもちろん日常生活のさまざまな動作で支障をきたします。
発達性協調運動障がいで苦手な運動
発達性協調運動障がいのこどもが苦手な運動の種類は次の2つです。
- 粗大運動
- 微細運動
とくに1番目の「粗大運動」は乳幼児期から不得意な兆候が見られる場合が多いため、注意しておきたいところです。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
粗大運動
粗大運動とは、身体を使った大きな動きのことです。例えば、歩く、走る、ジャンプをする、物を投げるなど、日常生活で行う基本的な動作が粗大運動に当たります。
このような動きには、大きな筋肉群を使うことが多く、身体能力の基盤となる運動です。粗大運動は、日常生活の中でも重要な役割を果たしており、運動能力の発達においても重要な役割を果たしています。例えば、歩いたり走ったりすることで、身体全体の筋力やバランス感覚が向上することがあります。また、スポーツやフィットネスなどの身体活動においても、粗大運動は重要な要素となります。
また、姿勢を保持したり、バランスを取るといった動きも含まれます。
したがって、発達性協調運動障がいで粗大運動が苦手なこどもは、赤ちゃんの頃からハイハイやつかまり立ちが苦手だったり、ミルクを飲む時にむせやすかったりするケースが多く見られます。
微細運動
微細運動とは、手の指の動き、筆記、ボタンをかけることなど、細かい運動を指します。
発達性協調運動障がいのあるこどもは、こうした動作を正確に行うことが難しく、精度が低い場合があります。また、作業中に疲れやすいため、長時間の微細運動を行うことができないことも少なくありません。
さらに、手を使った動きをしたい場合に、とりわけ困難を抱えることがあります。例えば、家事など細かい作業をすることが必要な業務や手作業での趣味などで問題が生じることがあります。
運動が苦手な発達障がい児の困りごと
運動が苦手な発達障がいの子どもたちは、以下のような困りごとがあります。
1.運動技能の発達が遅れる
発達障がいの子どもたちは、運動技能の発達が遅れることがあります。例えば、歩く、走る、跳ぶ、キャッチするなどの基本的な動作を正しく行うことが難しいことがあります。
2.身体的なコントロールの困難さ
発達障がいの子どもたちは、自分の身体をコントロールすることが難しいことがあります。例えば、姿勢が悪く、倒れたり転倒したりすることが多くなることがあります。
3.ルールに則った運動・スポーツが難しい
発達障がいの子どもたちは、運動プログラムを理解することが難しいことがあります。例えば、スポーツのルールや戦略を理解することが難しいことがあります。
4.手先の不器用さ
発達障がいの子どもたちは、手先の細かい運動に苦手意識があることがあります。例えば、ボタンを留める、手紙を書く、切り紙をするなど、手先を使った作業が苦手な場合が多く見られます。
5.運動に対する不安感
運動が苦手な発達障がいの子どもたちは、運動やスポーツに不安を感じやすいといわれています。例えば、スポーツの試合や体育の授業が近づくと不安感に襲われて、心身の不調を訴えることが少なくありません。
なお、ここで挙げた困りごとは、いずれも運動に対する自信やモチベーションに影響を与える可能性が高いものばかりです。ただ、こどもの発達段階に合わせた適切な支援や指導を受けることで、発達障がいの子どもたちも運動能力を向上させることができます。
発達障がいのこどもに必要な運動
発達障がいの子どもたちの心身の成長のためには、次ぎのような運動を取り入れることがポイントです。
1.全身を使う運動
発達障がいの子どもたちは、身体を動かすことが苦手な場合があります。そのため、運動場や広い屋内スペースで、走ったり跳んだりするような身体を動かす運動を行うことが重要です。こうした全身運動は、筋力やバランス感覚を養うことができるので、全体的な運動能力が向上します。
2.手先の細かい運動
手先の細かい運動に苦手意識がある点も、発達障がいの子どもたちの特徴です。
そのため、手紙を書いたり、切り紙をしたり、ビーズをつないだりする、といった手先の細かい運動を通して手先に器用さを訓練することが大切です。手先の器用さが向上すると、日常生活でのさまざまな活動も相乗効果が生まれます。
3.バランス感覚を養う運動
発達障がいの子どもたちは、バランス感覚が弱いケースがあります。そのため、バランスボールや平衡板を使った運動を行い、バランス感覚の向上を目指しましょう。
バランス感覚が身につくと、身体のコントロールがしやすくなります。
4.スポーツやチームプレイ
スポーツやチームプレイは、発達障がいの子どもたちにとって、身体的な活動だけでなく、社会性や協調性を養うことができる重要な活動です。スポーツやチームプレイを通じて、自信がつく、友達を作るといったメリットが期待できます。
なお、こうした運動プログラムは、子どもたちの興味や能力に合わせて段階に応じた調整が欠かせません。。発達障がいの子どもたちが楽しみながら運動を行えるような環境を整え、適切な支援や指導を提供することが大切です。
運動療育とは
運動療育とは、運動を用いた教育や療法のことで、身体的、精神的、社会的な発達を促進することを目的としています。特に、発達障がいを持つ子どもたちや身体障がい者、高齢者などに対して、身体機能の向上や社会性の向上などを目的として運動療育が用いられます。
柳沢運動プログラムとは
柳沢運動プログラムは、代表的な運動療育のひとつです。柳沢秋孝先生によって考案されました。
柳沢運動プログラムは、運動療育の一種で、発達障害や知的障害のある人々に対して、運動を通じて社会性やコミュニケーション能力などの発達を促すために開発されたプログラムです。
柳沢運動プログラムは、主に自閉症スペクトラム障がい(ASD)や注意欠陥・多動性障がい(ADHD)を持つ子どもたちを対象としています。
柳沢運動プログラムの特徴
柳沢運動プログラムは、以下のような特徴があります。
1.集団での運動プログラム
柳沢運動プログラムでは、複数の子どもたちが集まって運動を行うことが特徴です。集団での運動プログラムは、子どもたちの社会性やコミュニケーション能力を向上させることが期待できます。
子どもたちがチームで運動を行うことで、協調性やコミュニケーション能力を向上させることができます。また、先生や指導者とのコミュニケーションも重要であり、子どもたちが自分の感情を表現する機会を得ることができます。
2.運動の多様性
柳沢運動プログラムでは、様々な種類の運動を取り入れています。例えば、ボール運動、走り幅跳び、跳び箱、バランスボールなど、多種多様な運動があります。これにより、子どもたちの身体機能全般を向上させることができます。
個別のニーズに合わせたプログラム:柳沢運動プログラムでは、子どもたち一人ひとりの個別のニーズに合わせてプログラムを作成します。
もともと運動を通じて身体能力の向上を目指すことが開発目的であり、筋力やバランス感覚、反射神経などを向上させることができます。
例えば、身体的な障がいや知的障がいがある場合は、運動の強度や種類を調整することができます。
3.楽しい運動体験の提供
柳沢運動プログラムでは、楽しい運動体験を提供することが大切だと考えられています。
発達障がいの子どもたちは、ストレスを感じやすい場合があります。そこで、子どもたちに対して楽しいと感じる運動に積極的な参加を促し、長期的なプログラムに継続して提供します。結果、運動によるストレス解消効果が期待できます。
放課後等デイサービスの特長
放課後等デイサービスは、学校終了後に利用する児童や生徒、そして障がいを持つ子どもたちを対象にした、放課後や休日に行われる社会福祉サービスです。
放課後等デイサービスには、以下のような特徴があります。
1.安心して過ごせる環境
放課後等デイサービスは、専門のスタッフが常駐しているため、安全面での心配が少なく、子どもたちが安心して過ごせる環境が整っています。
2.学習支援
宿題や学習支援、クラブ活動などの教育的なプログラムを提供しており、児童や生徒が学習に取り組む場を提供しています。
3.運動療育
柳沢運動プログラムなどの運動療育プログラムを提供し、運動能力の向上や健康づくり、社会性やコミュニケーション能力の向上などを目指しています。
4.コミュニケーション能力の向上
グループでの活動や交流を通じて、コミュニケーション能力の向上を目指します。
5.カウンセリング・相談支援
必要に応じて、カウンセリングや相談支援を提供しており、子どもたちの心のケアも行っています。
6.地域交流
地域のイベントに参加したり、地域の施設を訪れるなど、地域交流を促進し、子どもたちの社会性や視野を広げます。
こうした6つのポイントが、放課後等デイサービスの特長です。
放課後等デイサービスは、子どもたちが学校外で過ごす時間を有意義に過ごすことができるサービスであり、地域の子育て支援にも貢献しています。
まとめ:発達障がいのこどもは運動が苦手な理由
発達障がいのこどもに運動療育を受けさせることは、身体能力や社交性の向上など、様々な面で良い影響をもたらすことが期待されています。しかし、発達障がいを持つこどもたちにとって、運動療育を受けることは、一般的な運動教室に参加するのとは異なり、個別にニーズに合わせたアプローチが必要です。
そこでおすすめなのが、放課後等デイサービスです。放課後等デイサービスには、専門のスタッフが常駐しており、発達障がいを持つこどもたちにとって適した運動療育プログラムを提供することができます。また、個別のニーズに合わせたカウンセリングや相談支援を行っており、心のケアも充実しています。
さらに、放課後等デイサービスでは、学習支援やクラブ活動など、様々なプログラムを提供しており、発達障がいを持つこどもたちの社会性やコミュニケーション能力の向上にも役立ちます。また、地域の施設を訪れるなど、地域交流を促進することで、社会性や視野を広げることもできます。
発達障がいを持つこどもたちに運動療育を受けさせるには、専門のスタッフが常駐し、個別のニーズに合わせたアプローチが必要です。例えば、吹田の放課後等デイサービス「こどもプラス大阪」は、充実したプログラムと専門のスタッフが揃っており、発達障がいを持つこどもたちの健やかな成長に役立つサービスを提供しています。お子さまの運動で悩んでいる方はぜひ一度ご相談ください。
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