発達障がいのこどもは目つきが独特なのはなぜ?「目が合わない」理由も解説(2)
発達障がいのこどもの中には目つきが独特な場合があり、コミュニケーションが取りづらいと感じている親御さんも少なくありません。
とくに自閉症スペクトラム症(ASD)のこどもは、障がいの特性によるコミュニケーションスキルの身につきづらさから、独特の目つきになってしまう場合があります。
では、目つきが心配な発達障がいのこどもに対して、どのような接し方をすればいいのでしょうか。
そこで2回目のこの記事では、発達障がいの特性をはじめ特徴的な目つきになる原因をいくつかに分けて、サポート方法とともに紹介します。
目つきが独特になる5つの原因
1回目の記事で、以下の通り発達障がいのこどもで目つきに特徴が見られる原因を5つ紹介しました。
- 視機能の異常
- 視覚過敏
- 発達障がいの特性
- コミュニケーションスキルの不足
- 過度の緊張や不安
とくに、2番目の「視覚過敏」以降の4つの原因は発達障がいと関わりの深いものばかりなのでしっかり確認しておきましょう。
では、それぞれの親の接し方とサポート方法について紹介します。
視機能の異常
「目が合わない」「視線が定まらない」といったこどもは、斜視や弱視など、生まれつき目の病気を持っている場合が多く、適切な治療が必要です。
目つきや目が合わないといった不安があるときは、まず、1歳半健診や3歳児健診など、市区町村で実施している健康診断に相談しましょう。また、保健センターや眼科でも相談を受け付けています。
視覚過敏
発達障がいのこどもは嗅覚や触覚など感覚が過敏なケースが多く見られます。目に入る刺激に極度に過敏な反応をする視覚過敏もそのひとつです。
とくに自閉症スペクトラム症(ASD)のこどもは、視覚過敏を併存しやすいといわれているため、発達障がいの診断やグレーゾーンの疑いがあるときは、こどもが日常生活に支障をきたさないように配慮しましょう。
外出するときは、サングラスやツバの広い帽子を被る、電車やバスの移動時は目を閉じて休ませる、落ち着いた照明で明るすぎないお店や場所で休憩する、といった対処法がおすすめです。
また、屋内ではテレビやパソコン、スマートフォンを利用するときはパソコン用メガネをかける、間接照明や遮光カーテンを使って室内の明るさを抑える、といった方法を取り入れましょう。
また、保育園・幼稚園や学校では、窓から離れた席や照明がまぶしくない席にしてもらったり、体調が良くないときは保健室利用ができるようにお願いしておいたりしておくといいでしょう。
発達障がいの特性
コミュニケーションスキルの不足
過度の緊張や不安
こちらの3つは、発達障がいがベースで起こるケースなので、まとめて紹介します。
まず、発達障がいのなかでも自閉症スペクトラム症(ASD)は独特な目つきをすることがあります。また、赤ちゃんのときから「目が合わない」ため心配する親御さんも少なくありません。
自閉症スペクトラム症(ASD)の代表的な特徴は次の2つです。
- 対人関係や社会性の障がい
- こだわり行動
とくに最初の「コミュニケーションの困難さ・社会性の障がい」という点は、人とのコミュニケーションが苦手なために目つきに特徴が出るポイントです。
では、ひとつずつ見ていきましょう
・対人関係や社会性の障がい
自閉症スペクトラム症(ASD)のこどもは他人に対する関心が弱いため、対人関係で困りごとが生じやすくなります。対人関係やコミュニケーションの仕方で特徴があるためです。相手の気持ちやその場の状況を読み取るのが苦手、あいまいな表現が理解しづらいなど、柔軟な人間関係やコミュニケーションのやりとりに困難さが見えます。
会話を文字通り受け取ったり、理屈を優先して行動したりする場合が多く「空気が読めない」「わがままで自分勝手」なこどもだと誤解されやすい点も日常生活の生きづらさを増す原因です。
とくに、コミュニケーションを取る場合、一方的に話しすぎるこどもがいる一方で、受け身で双方向の対人関係をうまく築けないこどももいるなど、言葉のニュアンスや比喩を使った会話が困難で、本人はその気はないまま相手を傷つける発言をしがちです。
こうしたコミュニケーションスキルや社会性の弱さが原因となって、どことなく目つきに特徴を感じたり、会話をしていても目が合わなかったり、といった様子が出やすいと考えられます。
・こだわり行動
特定の物事や自分だけのルールに強いこだわりがあるため、自分の関心の強いものには過度に熱中する反面、興味がないことはまったくやろうとせず、苦手になりがちです。
幼少期では、室外機のプロペラをずっと見続ける、おもちゃの飛行機のプロペラを回し続ける、飽きるまで手足をバタバタしたり、その場で跳び跳ね続けたりする、といった行動が目立ちます。
また、積み木を並べる順番に本人だけのこだわりが強く、いつもと同じ並べ方でなければ気が済まない場合や、いつも遊んでいるおもちゃがひとつでもないとイライラして癇癪を起こしたりすることもあります。
さらに、国旗や地図、恐竜や昆虫など特定のジャンルで狭くて深く熱中するこどもも多く見受けられます。
このほか、対人関係や社会性の障がいやこだわり行動の強さが原因となって、コミュニケーションスキルが身につきづらかったり、敏感な感受性を持っているため過度に不安や緊張を感じやすかったりするのも、自閉症スペクトラム症(ASD)の特性です。
このような発達障がいの特性がいくつか組み合わさると、対人関係での独特な距離感や不安・緊張などがきっかけで、目つきが独特になると考えられます。
日常生活の困りごとを軽減する2つのスキルとは
発達障がいの特性を理解した上で、こどもに社会生活が過ごしやすくなる次の2つのスキルを身につけさせることが大切です。
- 自立のためのスキル
- ソーシャルスキル
とくに、2番目の「ソーシャルスキル」という点は、人との関わり方や社会性の向上に役立つソーシャルスキルを身につけると、発達障がいのあるこどもの困りごとを軽減できるポイントです。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
自立のためのスキル
トイレや着替え、整理整頓をはじめ、家事のお手伝いなどで、こどもができることや得意なことを把握しながら、最後までやりとげられるスキルを磨くサポートをしましょう。
発達障がいのこどもは日常生活で困難なことが多いため、成功体験が乏しく自信や自己肯定感を育むチャンスが多くありません。できないこと、苦手なことは、無理にやらせず、できることを伸ばす姿勢を大切にして下さい。
ソーシャルスキル
ソーシャルスキルとは、社会生活で必要な技能のことです。
発達障がいのあるこどもは、対人関係や社会性が身につきづらい場合が多く見受けられます。コミュニケーションスキルや暗黙のルールといったソーシャルスキルを訓練する方法のひとつがソーシャルスキルトレーニング(SST)です。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)では、言葉だけでなくイラストや絵を使ってソーシャルスキルの必要性や身につけ方などを説明します。
また、ロールプレイングや遊びを使ったトレーニングなどもあり、先生が実演したり、こども同士で練習相手を入れ替わったりしながら、ソーシャルスキルを日常生活で実際に使えるレベルまでリードしていきます。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、児童発達支援や放課後等デイサービスをはじめ病院や学校などさまざまな場所で取り入れられています。
なかでも、発達障がいのこどもが多く通所する放課後等デイサービス(放デイ)では、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を積極的に実施しているところも少なくありません。一人ひとりの特性や個性を把握した上で、専門のスタッフがソーシャルスキルトレーニングを提供しているので、こどもたちも無理なく自然に対人関係のスキルや社会性を身につけられます。
まとめ:発達障がいのこどもは目つきが独特なのはなぜ?「目が合わない」理由も解説(2)
今回は、2回にわたって発達障がいのこどもの目つきについて紹介しました。
自閉症スペクトラム症(ASD)など発達障がいの種類によって、目つきが独特だったり、目が合わなかったりすることが多く見受けられます。
独特な目つきになる背景には、発達障がいの特性によってコミュニケーションスキルや社会性が身についていない、過度の不安や緊張状態にある、など、内面の課題が現れているケースが少なくありません。
そこで、発達障がいの特性や困りごとを理解して、こどもに適切なサポートをすることが大切です。
とくに自立のためのスキルとソーシャルスキルのトレーニングは、こどもが社会生活の困りごとを軽減して生きるために必要なポイントです。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)のように放課後等デイサービスなど発達支援の現場で積極的に提供している場合がありますので、ぜひ利用してみましょう。
例えば、吹田の放課後等デイサービス「こどもプラス大阪」もソーシャルスキルトレーニング(SST)に取り組んでいる場所のひとつです。
独自の運動プログラム「柳沢運動プログラム」による脳の発達を促すアプローチとともに、SSTはこどもプラス大阪の支援の2本柱のひとつになっています。
家庭や学校だけでは日常生活や社会生活をしていくのが心配に感じる場合は、ぜひ一度こどもプラス大阪までお問い合わせください。
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