発達障がいのこどもは人懐っこい?誤解されやすいADHDの症状とは③
発達障がいのうち、ADHDは人懐っこい特徴が現れることが少なくありません。人との距離感が近くてこどもらしい感じが強かったり、おともだちや周りの大人たちからかわいがられたりしやすいため、日常生活で障がいがあっても一見問題がないようにも見えます。
しかし一方で、人懐っこい以外の特徴が強く現れるADHDのこどもさんになると、家庭はもちろんのこと学校など集団生活でトラブルを起こしやすい、うまくその場になじめない、といった困りごとが絶えないケースも多く見られます。
そして、こうした障がいや病気で人懐っこい特徴は、ADHD以外でも現れる場合があるので注意が必要です。
例えば、どのような病気や障がいで人懐っこい特徴が見られるのでしょうか。今回の記事では具体的に2つをご紹介します。
人懐っこい特徴が現れるADHD以外の病気や障がい
1.脱抑制型愛着障がい
ADHDとよく間違われやすいものに、脱抑制型愛着障がいがあります。2歳から3歳頃から特徴が現れる障がいで、人懐っこい、活発に行動する、オープンな雰囲気、好奇心が旺盛、といった性格といったこどもさんがその兆候といわれています。
人見知りがない、知らないこどもにも抱きつこうとする、知らない大人に親しく笑う、注意を引こうとする、といったケースが一般的です。
とくにスキンシップやボディタッチが激しいことがポイントで、相手と人間関係があるかどうか、知っている同士かどうかは関係なく、抱きつき、手を繋ぎたがる、など人との距離感が極端に近くて周囲が困惑するシーンを日常的によく見かけます。
人懐っこい特徴はこどもならではの人との距離感の近さを現していることも多いため、一概に脱抑制型愛着障がいと考えることはできません。また、愛着障がいには「反応性愛着障がい(反応性アタッチメント障がい)」と「脱抑制型愛着障がい」の2種類があるため、それぞれの違いを知っておくことも大切です。
まず、簡単に説明すると、どちらの愛着障がいも乳幼児期に発症するケースが多いといわれています。とくに5歳以前で診断される場合が一般的です。
それぞれの大きな特徴は、次の通りです。
「反応性愛着障がい(反応性アタッチメント障がい)」
→人との距離感が遠すぎる(人見知りや警戒感が極端に強い)
「脱抑制型愛着障がい」
→人との距離感が近すぎる(極端に人懐っこい、なれなれしい)
1)反応性愛着障がい(反応性アタッチメント障がい)
両親からの児童虐待や養護放棄、過保護などが原因で発症すると考えられています。
5歳までに発症する場合が多く、こどもが人間関係で過度に警戒心が強い、異常に人見知りをする、同じ年代のお友だちと交流しようとしない、自他ともに攻撃性が強い、といった傾向が強く現れるのが特徴です。
2)脱抑制型愛着障がい
ADHDと間違われやすい種類で、5歳以前に発症するケースが大半です。どんなお友だちや大人に対しても過度に愛着する行動が強く現れます。また、注意を引こうと、誰にでも笑顔を見せる、親しく交わろうとするのがポイントです。一方で、日常生活でのグループでの連帯感や協調性はほとんど見られません。
なお、どちらの愛着障がいでも、強情で意地っ張り、極度にわがままな言動をするこどもさんがほとんどです。
ただし、脱抑制型愛着障がいの場合は、初対面の相手にも警戒心がなく近づいて距離を縮めようとする、知らないこどもや大人に抱きついたり、やさしい反応を引き出そうとします。落ち着きがなくいつもそわそわしている、ちょっとしたことで手が出たり粗暴な対応をしたりする、といったネガティブな特徴が出ると、周囲のお友だちとトラブルが発生してしまいます。
2.ウィリアムズ症候群
遺伝子の染色体の異常が原因でさまざまな症状が現れる病気です。特徴的な顔立ちをはじめ、精神発達の遅れが見られる他、視空間認知障害、歯の異常などいくつかの症状から診断されます。
症候群に付いているウイリアムズとは、1961年にこの病気を発見した医師の名前です。
非常にまれな難病のひとつで、日本でも国内に1〜2万人に一人の割合で発症します。
ウイリアムズ症候群のこどもは、エルフのような顔立ちをしています。エルフとは英語で小さな妖精のこと。小人のようにおでこが広い、頭が前後に長い、まぶたが腫れぼったい、鼻が低く、鼻の下は長い、唇が厚めです。
発達面では、ADHDを発症するケースがほとんどです。とくに人懐っこい、人見知りをしない、誰にでも仲良くしようとする、共感能力が高い、といった素直でこどもらしい特徴を見せます。
ただし、知らない人に対してなれなれしく関わろうとして、人間関係でつまづきやすいことも事実です。
人懐っこい特徴が裏目に出ないために
ADHDをはじめ人懐っこい特徴があだとなって、こどもさんが人間関係やコミュニケーションのトラブルを引き起こすことは、できるだけ避けなければなりません。
そこで、小さい頃から、知らないこどもや大人には付いていかない、誰にでも抱きついたり、笑顔を振りまこうとしない、など、繰り返しトレーニングしていくことが大切です。
発達支援の現場では、ソーシャルスキルトレーニング(SST)といって、集団生活のルールやコミュニケーションスキルを学ぶ機会も多くあります。人懐っこいことはとても素敵な性格です。しかし、そのせいでこどもさんがネガティブな経験をできるだけしないようにリードしていくことが必要となります。
発達障がいのこどもは人懐っこい?誤解されやすいADHDの症状とは③
3回に分けて、発達障がいのこどもと人懐っこい性格についてご紹介しました。ADHDを抱えるこどもさんは、人懐っこい、知らない人にも警戒心がない、といった特徴を見せることが多くあります。そのまま大きくなると、人間関係でトラブルが多く抱えやすくなるため、こどものうちにコミュニケーションスキルを身につけさせる必要があるでしょう。
放課後等デイサービス(放デイ)では、人間関係の築き方、維持のしかたを学ぶソーシャルスキルトレーニング(SST)を積極的に取り入れているところが多くあります。吹田を中心に展開している放デイ「こどもプラス大阪」もその一つです。
学校や職場など、社会生活で欠かせない生きる力を学ぶソーシャルスキルトレーニング。発達障がいを抱えるこどもさんにはぜひ放課後等デイサービスで実践的に学んで身につけていってもらいたいもの。人懐っこい特徴で日常生活の困りごとが出てきたら、ぜひ一度こどもプラス大阪までお気軽にご相談ください。
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