発達障がいのこどもがキレる理由は?怒りをコントロールするための親の対処法〈その2〉
発達障がいのこどもがキレる理由は、感情の未発達やソーシャルスキルのなさなど、さまざまです。
怒りのコントロールをするため、こどもに適切なサポートをしていく必要があります。
そこで2回目の今回は、キレるこどもへの対処法を中心に解説します。
「キレる」こどもへの3つのアプローチ
感情面の発達やソーシャルスキルの問題で、発達障がいのこどもはすぐにキレやすい状態になっています。
それでは、親はどういったポイントから怒りをコントロールするアプローチをすればいいのでしょうか。
次の4つの対応があります。
- ストレス耐性を身につける
- 頭や心を整理するスキルを育てる
- ソーシャルスキルトレーニングをおこなう
ストレス耐性を身につける
カッとして興奮する感情をコントロールするには、ストレスを自分でマネージメントする力が必要です。
頭や心を整理するスキルを育てる
もやもやした心をこども自身で整理したり、自分のしたいことを理解して周囲に対する被害妄想や恐怖感を捉え直すスキルを教えます。
ソーシャルスキルトレーニングをおこなう
社会生活で必要なトラブルを回避したり、円滑な人間関係を築くためのスキルを訓練することが大切です。
自分と相手の欲求に折り合いを付ける方法や、自分がやりたいことを社会のルールにマッチするかたちで実行するスキルが求められます。
親が注意しておきたいこどものキレやすいシーン
発達障がいのこどもがキレやすく、怒りの感情を出しやすいのはどういった場面でしょうか。
- 不安感が強いシーン
- パニック状態のシーン
- 疲れているシーン
- 欲求不満が溜まっているシーン
とくに3番目の疲れているシーンは思い当たることも多いのではないでしょうか。
ひとつずつ確認していきましょう。
不安感が強いシーン
発達障がいのこどもは、よくわからないものに恐怖を感じたり、ちょっとした刺激で不安になったりします。
また、恐怖や不安感を言葉や態度で上手に表現することが苦手な場合、その気持ちを「キレる」「怒る」というかたちで表現するケースが多く見られます。
パニック状態のシーン
発達障がいのうちADHD(注意欠陥多動性障がい)のあるこどもは、目の前で起きている作業やトラブルにどうやって対応したらいいかわからないとき、気が動転したりパニックに陥ったりすることがしばしばです。
自分で対処方法がわからないため、そのシグナルに怒りという感情を使うことがよくあります。
疲れているシーン
じっとしていられない、感覚が過敏など、多動性が強くでるこどもは、ADHDの特性によっていつも疲れた状態になっています。
疲労が蓄積すると判断力や感情の制御がうまくいかなくなってイライラしたり、周りが理解してくれないいらだちからキレてしまうのです。
欲求不満が溜まっているシーン
やりたいことがやれなかったり、やりたくないことを拒否できなかったりするシーンが重なると、自分の置かれている状況を不快に感じて、怒りという感情によって表現することが少なくありません。
こうしたケースを知っておくことで、客観的に対応しやすくなります。
キレたこどもに対する正しい接し方
それでは、発達障がいのあるこどもがキレたり、イライラが続いたりしたとき、親はどのような接し方をすればよいのでしょうか。
以下の3つの方法で、興奮した状態を落ち着かせて、一度冷静になってもらうことがポイントです。
- 今いる場所から離れて移動する
- 気持ちが落ち着く場所に連れて行く
- イライラのレベルを「エレベーター」に例えてもらう
とくに2番目の気持ちが落ち着く場所に連れて行く方法は、家庭でも簡単にできるのでおすすめです。
今いる場所から離れて移動する
気持ちを切り替えるため、イライラしているその場から移動させて、こどもが見えている視界を変えてあげましょう。
周囲の環境が変化すると、怒りの感情が収まったり、他の対象に興味が移りやすくなります。
気持ちが落ち着く場所に連れて行く
家庭の中に、こどもが安心して落ち着くスペースを用意しておき、イライラしたときにしばらくそこで過ごさせます。
慣れ親しんだイスやぬいぐるみなどに触れると、気持ちが落ち着いて怒りが収まることが少なくありません。
イライラのレベルを「エレベーター」に例えてもらう
今自分が感じている気持ちの「見える化」をしてもらい、クールダウンさせましょう。「イライラしているけれど、エレベーターなら何階ぐらい?」と聞いてみます。
その際、前もってこどもと「5階までのエレベーターのうち3階まで上がったら深呼吸をしよう」などルールを一緒に決めておくことがポイントです。
まとめ:発達障がいのこどもがキレる理由は?怒りをコントロールするための親の対処法〈その2〉
2回目のこの記事では、こどもが怒りの感情を持つ理由と、イライラしたときの親の接し方について紹介しました。
次回の3回目の記事では、こどもの怒りをコントロールするときに効果的な「アンガーマネジメント」について詳しく解説します。
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