発達障がいのこどものこだわりが強い理由とは?ワガママとの違いや対応方法〈その2〉
自閉スペクトラム症(ASD)の特性のひとつである「こだわりの強さ」。
同じ食べ物や服ばかり好む、マイルールでないとパニックになるなど、日常生活で困っている親御さんは多いのではないでしょうか。
こだわりの強さで生まれる行動は、脳の働きによるものなので性格やしつけとは異なる問題です。そのため、こだわり行動にこども自身や親がどう付き合っていくかがポイントとなります。
そこで後半のこの記事では、こだわりの種類と具体的な対応方法について解説していきます。
こだわりには3つのタイプがある
こどものこだわりの強さで生じるさまざまな問題も、よく見ると大きく分けて次の3つのタイプがあります。
- こどもの好きにさせてよいこだわり
- 大人や環境の調整が可能なこだわり
- 社会性で問題になるこだわり
とくに3番目の社会性で問題になるこだわりは、社会生活においてトラブルや生きづらさにつながるので注意が必要です。
こどもの好きにさせてよいこだわり
そのままにしていい、良いこだわりです。
例えば、電車や動物が好きで大人顔負けの知識を持っている、信号は必ず守る、といったこだわりに対しては、しっかりとほめて自信を付けさせてあげましょう。
大人や環境の調整が可能なこだわり
大人の都合や周囲の環境や条件を配慮すれば、大きな問題がないこだわりです。
同じ服装ばかりしたがる、特定のメーカーの食べ物しか口にしない、といったこだわりは、できるだけこどもの希望に合わせましょう。
特定の服を着たがって何日も洗濯をさえてもらえない、といった大人側の都合が生まれたときは、うまくこどもと折り合いを付けていく必要があります。
社会性で問題になるこだわり
こども本人や周囲の人たち問題が大きいこだわりです。
スーパーでおもちゃを買ってとねだるこどもが大きな癇癪やパニックを起こした場合、親子だけでなく周囲の人たちにも迷惑をかけてしまいます。
また、自分が遊びたいおもちゃが使えないからといって、お友だちに手を出してしまうといったケースもあるでしょう。
こうしたこだわりの強さによるトラブルは、次のような理由から生まれます。
- 状況に対するこどもの認知に歪みがある
- 状況判断が苦手でその場の正しい理解ができていない
- コミュニケーションスキルやマナーが身についていない
- ストレスや強い恐怖や不安感がある
こういったこだわりの強さで起きる問題の背景を知った上で、適切な対応を取ることがポイントです。
強いこだわりの行動に対する対応ポイント
それでは、こどもが強いこだわり行動を示した場合、どういった対応をすべきでしょうか。
まず、親として、こだわりの強さをなくすことはできない、こだわりの強さを日常生活にマッチする行動や方向性へと少しずつリードしていく、といった心構えで対応することが前提です。
対応で大切なのは、人とのトラブルを防いで迷惑にならないこと、そして、社会に馴染んで基本的な生活ができること、だといえます。
例えば、電車内で大声でしゃべったり、走り回ったりするこどもには、なぜ電車で騒ぐ行動が人に迷惑をかけることなのか繰り返し丁寧に説明していきます。
発達障がいのこどもは言葉による説明を理解するのが苦手な場合が多いため、イラストや写真を使ったり、ロールプレイのように親が手本を示したり、いくつかの方法を組み合わせることがおすすめです。
また、日頃から日常生活で支障をきたす強いこだわりを把握しておいて、こどもが切り替えしやすい工夫をしておきましょう。
一度遊びに熱中すると宿題や食事など他の行動に移れないこどもには、アナログ時計の針で「この位置になったら、ご飯を食べようね」と伝えて、どのくらいの時間が経過したらやめなければならないのかわかるようにします。
また、もし同じ道順にこだわりが強いこどもに別のルートで行かなければならない日があった場合は、前もって違うルートを使うことやその理由を繰り返し説明しましょう。道順の地図や通りの写真など目で見た違うルートが把握しやすい説明方法だとよりこどもも理解しやすくなります。
食べ物にこだわりが強いこどもは、ごく少量から少しずつ食べる練習をしていくと良いでしょう。同じメーカーのものしか食べない場合は、別のメーカーの食品を舐める程度からスタートしていきます。ちょっとでも成功したら、しっかりと褒めてこどもが好きなものを食べさせるなど「アメ」を用意しておくことも効果的です。
まとめ:発達障がいのこどものこだわりが強い理由とは?ワガママとの違いや対応方法〈その2〉
2回にわたって、発達障がいのこどもの強いこだわりについて紹介してきました。
自閉スペクトラム症(ASD)の特性であるこだわりの強さは、とことん熱中して知識や経験を積んでいくポジティブなタイプのものもあれば、こだわりすぎるあまり日常生活がうまくいかなくなる恐れもあったりと、一筋縄ではいかない問題です。
そのため、強いこだわり行動によって、そのままにしていいものか、大人や環境による調整が可能なものか、はたまた社会生活のため望ましい方向性へとリードしていかなければならないものか、判断しながら対応する必要があります。
とくに社会性の低さによって集団生活に溶け込めない、対人関係でトラブルが多い、といった場合は、ソーシャルスキルを身につけさせると生きづらさが改善されます。放課後等デイサービスなど発達支援の現場で実践されている「ソーシャルスキルトレーニング」は、社会でのマナーや表現方法を学ぶプログラムです。
吹田の放デイ「こどもプラス大阪」でも、ソーシャルスキルトレーニングによる発達障がいのこどもの療育に力を入れています。こだわりの強さで将来が心配な親御さんは、ぜひ一度こどもプラス大阪までご相談ください。
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