発達障がいのこどもは人懐っこい?誤解されやすいADHDの症状とは①
最近、マスメディアやネットの情報が広がって、大人の発達障がいがクローズアップされるようになりました。発達障がいはこどものころから症状の特徴が現れる脳の発達の偏りのこと。こどもさんと接していて「人懐っこいな」と感じたり、反対に周りの大人やこどもに対して「反抗的な態度を取るな」と見えたり、さまざまなパターンがあります。
とくに、発達障がいのうちADHD(注意欠陥多動性障害)のこどもは人懐っこいので、大人やお友だちからかわいがられるお子さんも多く見られます。一方で、ADHDの特徴が「反抗的」「非常識」といった方向に出てしまうと対人関係でつまづいたり、周囲とのコミュニケーションで孤立したりすることも珍しくありません。
そこで今回の記事では、発達障がいのこどもと人懐っこい特徴についてご紹介します。
人懐っこいのは発達障がい?
「発達障がい」と聞いたとき、どのような症状を思い浮かべるでしょうか。一般的によく知られているのは、自閉傾向のこどもです。かつて自閉症やアスペルガー症候群と呼ばれていた発達障がいは、現在「自閉症スペクトラム症」とまとめられて呼ばれるようになりました。
発達障がいの種類と特徴
ほかにも、ADHD(注意欠陥多動性障害)や学習障害(LD)など、発達障がいの種類にはいくつか存在します。
発達障がいをわかりやすく説明すると、脳の発達が平均的な発達段階と比較して偏りがある、ズレが生じている状態です。発達レベルは年齢が大きくなるにつれて、多くのこどもができることを基準に考えられています。そのため、発達障がいかもしれないと思うタイミングはお子さんによってさまざまです。最初のタイミングは1歳半健診、そして三歳健診で、発達の遅れを指摘されることがあります。
しかし、発達障がいの種類や症状の現れ方によっては、小学校に入学して集団生活や本格的な学習がスタートしてからはっきりと発達のズレが見えることも少なくありません。大きくなって社会に出てから、仕事や家庭で生き方につまづいて初めてわかることもあります。
このように、発達障がいはこどものうちからわかることもあれば、最近話題になっているように大人になってから発達障がいと診断されるケースも多く見られるのです。
症状と本来の個性を分けて考えよう
「人懐っこい」という特徴も、発達障がいかどうかを考えるとき、一つのポイントになることがあります。もともとこどもは人見知りをする反面、どんな人にも人懐っこい性格をもつことも多いため、人懐っこいからといってそのまま発達障がいを疑う必要はないでしょう。もともと人との距離感が近い、オープンな性格である、といった性格で生まれて来たこどもは、人懐っこいことがそのこどもの個性だからです。
また、育ってきた家庭環境や家族の性格と比べて、特別にこどもが人懐っこいと見えるケースもあります。口数の少ない寡黙な両親だった場合、こどもが人懐っこい性格で生まれれば「人との距離感が近すぎるからおかしい」「うちの子は人とのコミュニケーションがズレているのではないか」と心配して、発達外来に相談する場合もあるでしょう。
このように、人懐っこいという特徴は、その子の本来の個性であるのか、家族や周りの人たちと比較してのことなのか、それとも発達障がいの特性が現れているのか、慎重に見ていくことが大切です。
まとめ:発達障がいのこどもは人懐っこい?誤解されやすいADHDの症状とは①
人懐っこいこどもがすべて発達障がいの可能性があるわけではありません。人見知りをするこどもでも接する相手や環境しだいで人懐っこい様子を見せることも多いからです。
ただし、ADHDの場合、人懐っこい要素からかわいがられる場合も多いため、他の特性にも注意して見ていく必要があります。そこで次回の記事では、発達障がいの種類の違いとADHDの特徴をさらに掘り下げてご案内します。
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