発達障がいとゲーム依存って関係がある!?ゲームとの良い付き合い方①
最近、こどもたちの間でゲーム依存が増えています。
インターネットやスマートフォンが普及するにつれて、小さな頃からスマホやゲームで遊ぶこどもたちが多くなりました。
とくに2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大で、自宅で過ごす時間が一気に増えたり、外出自粛で外で遊べない、友だちと会えないなど、さまざまなストレスにさらされた結果、こどもたちは部屋でインターネットやゲームをする時間が急増。
発達障がいのおこさまを持つ親御さんの中にも、ネットやスマホに依存してしまわないか心配という声がありました。
そこでここでは、2回に分けてこどもたちのゲーム依存の問題について考えてみたいと思います。
発達障がいの特徴に触れつつ、なぜ発達障がいのこどもたちがゲーム依存になりやすいかも考えていきましょう。
ゲーム依存って何?
WHO(世界保健機構)では、2019年にゲーム依存の状態を「ゲーム障害」と名付けて、疾患の一つに認定しました。
次のような状態が12ヶ月以上続いた場合、「ゲーム障害」に当てはまります。
・ゲームをする時間やタイミングを自分でコントロールできない
・ゲームの優先度が高くなる代わりに、それ以外の出来事や関心事の優先度が低くなる
・日常生活に支障をきたしてもゲームを優先してしまう
2019年の厚生労働省の調査結果を見ると、10代から20代の約2割は平日1日3時間以上ゲームをしています。
そのうち3割は6時間以上もゲームに時間を費やしていることがわかりました。
実際、学業や仕事に支障をきたしている人も少なくありません。
またコロナ禍による学校の休校期間中、10代の間でゲームの時間が一気に増えたといわれています。
ゲーム依存になると、心や体に次のような影響があることがわかっています。
・視力低下、頭痛、腰痛
長時間、液晶画面を見続けるため、目に負担が掛かるほか、頭痛や腰痛などの原因になります。
・肺活量や筋力の低下
ゲームにまとまった時間を取られてしまい、こどもの成長に必要な運動ができません。
心肺機能や筋肉の成長にも支障をきたします。
・睡眠障害
ゲームに集中するあまり夜型の生活リズムになって、昼夜逆転現象が起きやすくなります。
また、脳の興奮状態が収まらないため、不眠傾向になることも。集中力が低下して、学業や仕事に身が入りづらくなります。
・衝動性やイライラ感
ゲームができない時間が続くと、衝動的にゲームをやりたくなったり、我慢ができずにイライラが増大したり、メンタル的に不安定になりがちです。
このように、ゲームをあまりにし続けると、こどもの心身の成長にも影響が出て、10代のうちに発育が必要な筋肉や骨、神経をはじめメンタル面の発達にも暗い影を落としてしまいます。
なぜゲーム依存になってしまうの?
どうしてゲームをやめられなくなってしまうのでしょうか。その理由には次の3つの問題があるといわれています。
1.脳が依存しやすくなる
脳には、自分の行動を制御する理性をつかさどっている「前頭前野」と本能や感情をつかさどっている大脳辺縁系の2つに分かれます。
前頭前野は、「大人の脳」とも呼ばれていて、勉強や仕事、日常生活のさまざま行動をコントロールする部分です。
一方で、「子どもの脳」と呼ばれる大脳辺縁系の働きが優位になると、欲求のままに行動しやすくなってしまいます。
ゲーム依存のこどもたちは、ゲームやスマホを見ただけで大脳辺縁系の働きにスイッチが入って、異常にネットやゲームをしたくなる脳になっています。
前頭前野が十分に発達していない10代では、大脳辺縁系が優勢になる傾向が強いため、ゲーム依存が起こりやすいといわれています。
また、ゲーム障害に陥ってしまうと、大人になってもその影響が続いて「ゲームがやめられない」「仕事よりもゲームやネットを優先してしまう」ようになるのです。
2.心が原因で依存しやすくなる
身近にゲームがいつでもできる状態があると、心理的な問題で依存しやすくなってしまいます。
・現実逃避
不登校や勉強についていけない、友だちとの人間関係に悩んでいるなど、日常生活でのストレスや不安をゲームで解消しようとします。
ゲームをすれば手軽に時間がつぶせるので、現実の問題から目をそらせられるからです。
・承認欲求
ゲームを頑張れば、勉強やスポーツなどで周囲から認められないこどもでも、ゲームが上手なだけでこどもたちから「すごい!」といって賞賛の的になれます。
強くなるほど自慢できるので、優越感に浸れます。
・居場所
学校や放課後では遊ぶ友だちがいないこどもでも、オンラインゲームや対戦ゲームの遊び仲間と知り合って、いつでも遊べます。
唯一のつながりの相手として、共通の趣味を持つ見えないプレイヤーを心の慰めにしているこどもたちも少なくありません。
・思うようにならない日常生活の代償
「コロナで外出できない」「友だちと遊べない」「部活がなくなった」「旅行ができない」など、日々の生活で自分の楽しみにしていることが奪われてしまうと、その不全感を解消するためゲームに走ってしまいます。
ゲームを楽しんだり、ゲームの達成感が日常生活の心の穴を埋めてくれるのです。
まとめ:発達障がいとゲーム依存って関係がある!?ゲームとの良い付き合い方①
今回は、急増するこどものゲーム依存の現状と、ゲーム障害になる理由についてまとめてご紹介しました。
次回は、発達障がいを抱えるこどもたちがゲーム依存になりやすい理由について触れながら、その解決策を考えていきます。
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